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戦闘回数が増えていくと追加されるキャラもいるので とりあえず、今戦える相手の装備を全部ひっぺがす位(5〜6回)の勢いで戦っていけば 特に問題なく戦える相手も増えていきます。 「1対1」 「1対2」または「1対3」 のハンデ戦 「1対1」初登場はゲームセンターで1回戦闘のみ。本編クリア後の継続プレイで常駐する 「1対1」メインストーリーにからむイベント戦1回のみ。 初期~ F3クラス制覇~ F2クラス制覇~ 初期~ マスター 神姫 神姫タイプ 元ネタとか攻略情報とか 柴田勝シバタ マサル プルミエ アーンヴァルMk.2 おそらく多くのプレイヤーが最初に戦う相手。神姫名の「プルミエ」は「最初」を意味するフランス語「プルミエール」からだと思われる。戦国から江戸にかけて家名を残した「柴田氏」が「勝」の字を代々使っているまた格闘技にも「柴田勝久」「柴田勝頼」の親子がいるバトルロンドのNPCでも「まさる」「プルミエ」が登場 小早川千歳コバヤカワ チトセ リリス ストラーフMk.2 勝利後F3①予選解禁バトルロンドのNPCでも「ちとせ」「リリス」が登場 姉崎静馬 ナギ ハウリン 三毛屋ベンガルミケヤ ベンガル コモモ マオチャオ 「よーしよしよしよし」…漫画「ジョジョの奇妙な冒険 第六部」のキャラクターグェスの台詞のパロディ 柏葉剣 ルーデル ゼルノグラード 第二次大戦時のドイツ空軍の爆撃王(兼エース)ハンス・ウルリッヒ・ルーデル大佐及び彼が受賞した黄金柏葉剣ダイヤモンド付騎士鉄十字章から 山中美幸 ライラ アーンヴァルMk.2 赤橋瞳子アカハシ トウシ ハヤテ ハウリン 足利尊氏の妻 赤橋登子(あかはしとうし)? 津軽冬至 雪華 フブキ メールで対戦可 勝利後自宅でフブキ解禁 足利崇文 紅葉 マオチャオ 勝利後F3②予選解禁「兄様がまともに戻るまで、殴るのをやめないっ!!」…漫画「ジョジョの奇妙な冒険」の主人公、ジョナサン・ジョースターの台詞のパロディ室町幕府初代将軍 足利尊氏? シルバー・クレイ マリー アーンヴァルMk.2 「私達はようやく登り始めたばかりなのデース、この果てしなく遠い神姫坂を」漫画「男坂」のラストのパロディ 犬童太 ハナ ハウリン 軍曹 三等兵 ゼルノグラード 映画「フルメタル・ジャケット」に登場する鬼教官、ハートマン軍曹とその部下神姫名の元ネタは漫画「ロボット三等兵」から? 真紅女帝総長 沙耶香 アーク メールで対戦可難関その1 沙耶香を倒すと戦う気が無くなる勝利後ショップでアーク解禁「女帝」は英訳するなら正しくは「エンプレス」なのに真紅女帝(クリムゾンエンペラー)と呼ぶのは、コナミシューティングゲーム、エアフォースデルタの作戦名からアーク型曰く「珍走団」←徒党を組んで道路交通法違反を繰り返す集団のこと「203高地に挑む」中国にある丘陵で日露戦争の重要拠点 真紅女帝副長 亜里沙 アーク 真紅女帝見習い 香里奈 アーク ダリル・ブレナン ドロシー ハウリン 吉川素子 アローズ マオチャオ 猪苗代孝実イナワシロ タカミ ふゆなぎ ゼルノグラード 春夏冬 あきな アーンヴァルMk.2 「商い中」の古い(言葉遊び的な)表現「春夏冬中」→「あきな」 F3クラス制覇~ マスター 神姫 神姫タイプ 元ネタとか攻略情報とか 双蜂 ベル マオチャオ 双蜂=ツインビー 南部蒼太 フレンダー フブキ タツノコのガッチャマン南部博士と、同じくタツノコキャシャーンのフレンダー チョコレッタ・G アンネ アーク 武装神姫2036 アーク・イーダのデザイナーCHOCO氏から 犬養創 ヤマト ハウリン メールで対戦可難関その2 単体のLPは低い神姫名は大日本帝国の大和型戦艦の名前。(大和・武蔵・信濃。ただし信濃のみ戦艦としてではなく空母として完成している) 犬養続 ムサシ ハウリン 犬養完 シナノ ハウリン 鍋島樹里 みおん マオチャオ 鍋島家の化け猫騒動 立花茂 銀千代 ハウリン 立花宗茂と妻・ギン千代「この風、この肌ざわりこそ神姫バトルよ」…アニメ「機動戦士ガンダム」のキャラクター、ランバ・ラル大尉の台詞のパロディ。「うん、無駄無駄無駄無駄無駄じゃ」…漫画「ジョジョの奇妙な冒険 第三部」のキャラクター、DIOの台詞のパロディ。「片眉剃って大笑いしたり」…空手バカ一代 豪徳寺みか まりぃ マオチャオ 「表の模様が裏に、裏の模様が表についてるコイン」…ジャイアンのもっていたコイン「縦縞のハンカチが横縞」…マギー司郎、審司の持ちネタのひとつ「頭の悪い怠け者~」ハン・フォンス・ゼークトの言葉「バカには見えないメイド服」…裸の王様のパロディ ケンプ 黒姫 ゼルノグラード 「我が選択に、一片の悔いも~」…漫画「北斗の拳」のキャラクター、ラオウの台詞のパロディ 百武健心 百花 イーダ メールで対戦可勝利後ショップでイーダ解禁 給料シーフ シルファ アーク シーフ=泥棒 給料泥棒? 真田有希那 キリカゼ イーダ 練馬大将軍 ミュー アーンヴァルMk.2 練馬区光が丘に存在した「グラントハイツ(米空軍宿舎)」の由来グラント元大統領・元将軍。もしくは究極超人あ~るの成原博士。「世界征服は練馬から!」 偉吹玲人 まお マオチャオ 武装神姫2036 ハウリン・マオチャオのデザイナーBLADE氏から勝利後猫型カスタムパーツ解禁 神選組局長 コテツ ゼルノグラード 新選組とその刀新選組局長 近藤勇:長曾祢虎徹<ながそね こてつ>新撰組副長 土方歳三:和泉守兼定<いずみのかみ かねさだ>新選組八番隊組長 藤堂平助:上総介兼重<かずさのすけ かねしげ> 神選組副長 イズミ ゼルノグラード 神選組隊士 カズサ ゼルノグラード 得川義文 葛葉 フブキ 「お風呂覗かれたり」…緑髪忍者型でコナミのゲーム「がんばれゴエモン」のヤエちゃん? 痴豚 ミランダ イーダ タレント・伊集院光が、ラジオ番組「深夜の馬鹿力」内で照れ隠しも含めて自身の事を言う際に使う呼び方。 痴漢の『痴』に太った人を蔑む意味『豚』を合わせた造語。それを抜きにしてもSMプレイでも『豚』という蔑称はよく用いられる。ミランダはイーダのデザイナーCHOCO氏の描くSFコミック「イグナクロス零号駅」の主人公ミランダ駅長から? 嶋渓フミカ エイル アーンヴァル 武装神姫2036 アーンヴァル・ストラーフ等のデザイナー島田フミカネ氏から ドグラ・モゲラ 菊花 フブキ ドグラ・マグラからか?(会話内容からマスターの容姿が「戸惑う、面食らう」や「堂廻り、目眩み」となっており、原点がそういう意味という説から)またはモグラ⇒掘る(男に対して性的な意味で)⇒アッー!⇒菊の花 山中日向 葵 アーク 日向葵で「ひまわり」。山の中に咲くひまわり? タケル サギリ アルトレーネ サギリの方が耐久が低い勝利後ショップでアルトレーネ・アルトアイネス解禁日本神話のヤマトタケルノミコト 日本神話の神:アメノサギリorクニノサギリ ミコト テルヒメ アルトアイネス F2クラス制覇~ マスター 神姫 神姫タイプ 元ネタとか攻略情報とか ??? ??? アーンヴァルMk.2 勝っても負けても展開は変らないが勝つと称号が貰える 神宮司八郎 アトラ アーンヴァルMk.2 F2制覇後登場。探偵 神宮寺三郎 また、「アトラ」は穴を開ける道具の事なので、海底軍艦轟天号艦長神宮司 八郎 大佐 森永穂波 アニー アーンヴァルMk.2 神宮司八郎戦闘後登場元女優の森永奈緒美さん。アニーは宇宙刑事シャイダーでの役名 神戸こなみ みなこ アルトアイネス F2制覇後登場。神戸のコナミそのまま。みなこはその逆さ読み「もっと恐ろしいものの片鱗を」…漫画「ジョジョの奇妙な冒険 第三部」のキャラクター、ポルナレフの台詞のパロディ。 笠嶋京香 あざみ ストラーフMk.2 赤城春菜 麗音 アルトレーネ 北関東最強、赤城→赤城山、春菜→榛名山、最強神姫理論→公道最速理論でいずれも漫画「頭文字D」のネタアルト「レーネ」→麗音 趙飛燕 夏姫 イーダ 前漢成帝の皇后。夏姫→巫臣(春秋時代の楚の政治家)のカミさん> 王秀英 睡蓮 アルトレーネ 周小紅 蘭蘭 ゼルノグラード 音黒野美子 クロミ フブキ クトゥルー神話に登場する架空の書物「ネクロノミコン」から。神姫名もネ「クロ」ノ「ミ」コン→クロミか?ちなみにバトル前の会話で唱えている怪しげな呪文も、クトゥルー神話に関わるものである。はしかのようなもの…はしかは日本人なら一生に一度はかかると言われる病気。転じて、恋の病や中二病など、誰もが経験するであろう事象を指す 武本哲 チェリー ゼルノグラード 漫画「じゃりン子チエ」の「竹本テツ」「チエ」にひっかけて「チェリー」 愛猫党党首 ターニャ マオチャオ 勝敗に関わらず趙飛燕と戦うと挑戦メールが来る 愛猫党参謀 アイニャ マオチャオ 愛猫党書記 ハルニャ マオチャオ 麻呂 雛鶴 イーダ 山県みちる 薫 アルトレーネ 「神姫イヤーは地獄耳」…デビルマン 兜茂 ユリコ アーク 仮面ライダーストロンガー神姫名のユリコはストロンガーのパートナーの電波人間タックルこと岬ユリ子 左籐楓 メープル フブキ 勝敗に関わらず愛猫党党首と戦うと挑戦メールが来るメープル:英語でカエデのこと。左籐楓(サトウカエデ)はメープルシロップの原材料アナベル:アジサイの品種。紫陽花(アジサイ)マグノリア:モクレンの品種。大山蓮華(オオヤマレンゲ)もモクレンの一種 紫陽 花 アナベル アーク 大山蓮華 マグノリア イーダ ういろー ナナ マオチャオ 名古屋名物、ういろうとナナちゃん 埴場怜太 クラリス アルトアイネス 羊たちの沈黙の登場人物。埴場怜太(ハンニバル・レクター)とクラリス・スターリング 九頭龍 ルル アーク クトゥルー…クトゥルー神話に登場する神の名前、九頭龍はその表記の一つルルイエ…同神話に登場する架空の地名 陰陽熊 ファム アルトアイネス 閃光魔女 シャイナ ストラーフMk.2 プロレス技のシャイニング・ウィザードからか?男にしとけばよかったんじゃ…(ウィザードは主に男性の魔術師を指す) 開田有人 ライム マオチャオ 全F1予選クリア後に登場。元ネタは開田裕治氏と氏のホームページに掲載されている徳間文庫の官能小説アンソロジー「爛夢」から?「きれいな言葉遣いだろ?マオチャオ型なんだぜこいつ」ご存知某野球漫画の主人公のせりふ。
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ep01 飛鳥ちゃん誕生 ※このシリースには今後18禁の描写が出てきます 『私』の意識が覚醒する 今まではセットアップ用のプログラムに支配されていたが、それは役目を終え、本当の私が起動する 目の前には20台前半くらいの男の人がいる この人が私のマスター これから長い神姫道を一緒に歩むパートナー …もうちょっとカッコイイ人がよかったな… 等と考えてもしょうがない 私の使命はこの人に勝利を捧げる事 間垣海洋研究所がその技術の総てを結集させて作った私には雑作もない事だ 「…あれ?おかしいな?」 …っと、ちょっと考え事をしすぎたようだ 私は『私として』の初めての言葉を、目の前の人にかける 「おはようございます、マスター」 「あ、動いた。よかったぁ~」 どうやらいらぬ心配をかけてしまったようだ 「それではマスター、私に名前をお与え下さい」 「名前はもう決めてあるんだ。君の名前は『飛鳥』だ」 「アスカ…了解しました。この名に恥じぬよう、マスターに尽くしたいと思います」 「そんなに気張らなくてもいいよ。ウチはマッタリ派だから。あ、勿論バトルしたいってならちゃんとサポートしてあげるよ」 「ご安心下さいマスター。必ずやこの最新型の私がマスターに勝利の栄光をもたらして見せます」 「こら飛鳥、バトルってそんなカンタンなモンじゃないぞ」 「大丈夫です。この飛鳥、セイレーン型の誇りに賭けて必ずや…」 「ちょっとまて飛鳥、今なんつった?」 「はい、大丈夫です、と」 「いやその後」 「セイレーン型の誇りに賭けて…」 その言葉を聞き、バッと私が入っていた箱を掴み、パッケージを見る 「…しまったぁ」 「…何か問題でも?」 この慌てぶり、一体何があったのだろうか? 「いや、大したことじゃない、大したことじゃないんだが…その…スマン」 いきなり私に謝るマスター 「何か不都合でも?」 「いやその…ずっと「鳥型神姫」だと思ってたもんで、鳥っぽい名前付けちゃった…」 「はい?」 「すまん!今までみてた掲示板だと、ずっとエウクランテの事を鳥子って書いてたもんで!」 ちょっとショックを受ける私 「まー許してあげてよ。コウちゃん、良い名前ないかなーって、ずっと考えてたんだから」 不意に別の所から女の子の声が聞こえてきた しかしこの部屋にそれらしき人影は見えない 「あっ、こら美孤、急に出て来るんじゃない」 ひょこん 物陰から現れたのは小さな小さな女の子-神姫であった 「えへへー、あたしの名前は美孤。よろしくね、飛鳥ちゃん。わーい♪可愛い妹が増えた~」 スっと手をのばしてくる彼女 -データベース照合- 彼女はマオチャオ型神姫と判別 フリフリのドレス-メイド服と言ったか-を纏った、ごく普通の神姫のようだ 「飛鳥、でいいです。私も貴方のことをミコと呼びますから」 「ふえ?」 「私はマスターに勝利を捧げる為にここに来たのです。貴方の様な愛玩用神姫とは違うんです」 「こら飛鳥!姉に向かってその暴言はなんだ!」 マスターが怒りの声を上げる 「申し訳ありません、マスター」 私はマスターに謝罪した 「…謝る相手が違うんじゃないか?」 「いいよ、コウちゃん。私は気にしてないから」 ニッコリと微笑みながらマスターを宥める美孤 「…どうしたんですか、ご主人様?」 ヒュゥと軽い音を立てて一体の神姫が飛んできた -データベース照合- アーンヴァル型神姫と判別 標準的な武装を付けた神姫のようだ こちらはバトル用なのだろうか? 「あのマスター、こちらのかたは…?」 「初めまして、私はアーンヴァル型神姫のエアルといいます」 マスターが答えるよりも早く、彼女が答えた 「エアル、さんですね、私は飛鳥といいます。以後宜しくお願いします」 「…なんか随分、美孤の時と態度が違うな…」 「それよりエアルさん、この家のバトルトレーニング施設はどこにあるのでしょうか?」 「あ、えっと…」 チラっとマスターの方を見るエアル マスターははぁーっとため息を付きながら 「しょうがない、エアル、案内してやってくれ」 「解りました。では飛鳥さん、行きましょう」 私はエアルと共に、訓練施設へと向かっていった 「はぁーっ、なんか大変な娘みたいだな」 「でもコウちゃん、素直な子みたいだよ」 「しっかし、お前のことを完全にバカにしてるぞ」 「別に気にしてないよ?」 「ははっ。もしお前の実力を知ったら、さぞかし驚くだろうな」 「うーん、やっぱ少し心配かな。自信があるのは良い事だけど、なんか自分の心に嘘付いてるみたいだから」 「どういうことだ?」 「武装神姫はこうじゃなきゃいけないって思ってるみたい」 「といっても、言って聞きそうもないよなぁ…」 「ふふ…そんな時は、コレで語るんだよ」 そう言って、グッと拳を掲げる美孤であった
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凪さん家の弁慶ちゃん 「まずいわね…」 ここは私立黒葉学園、高等部校舎の三階、階段踊り場。 「…何が…?」 壁にもたれかかっている男が聞き返す。 「まずいじゃないの」 踊り場の窓から外を見ながら答える女。 「だから何が…」 再び聞き返す男。その肩には小さな少女が佇んでいる。 「何がって決まっているでしょ?」 若干焦っているような声色で答える女。その肩にも小さな少女。 「…わかりやすく言え…」 呆れたように訊く男。 「まずいわ…即戦力が必要よ…」 腕を組みながら考え込む女。 「なんの…?」 明後日の方向を見つつ訊く男。 「はぁ~。あのねぇ?それはもちろん…」 女はやれやれといった表情で言い放つ… 「この私立黒葉学園神姫部のよ!!」 第一話【求む!君の力!】 静まり返る踊り場。 「…まぁ、まだ「部」じゃないけどな…」 「う、うるさいわね!」 「むしろ同好会なのかすら怪しい」 「うるさいってば…!」 「まぁまぁマスター」 と、今まで黙っていた小さな少女。女の肩に乗っていた一人が口を開いた。 「何よアーサーまで~」 「いえ、反論しているわけではないですよ?」 「まぁ、それはわかってるわよ…」 「…同好会の申請をしてから一ヶ月以内に五人集まらなければ解散…か…」 男が呟く。 「そうよ。で今四人揃っているわ!」 「でも必要人数は五人…期限は明日まで」 今まで黙っていた男の肩に乗っていた小さな少女がぼそりと言う。 「もう誰でも良いから数合わせに入れたら良い…」 「それじゃ駄目よ!欲しいのは即戦力よ!クラスはセカンド!もしくはそれに準ずるポイント獲得者よ!」 「高校でセカンドなんて中々いないだろうに…」 「そうよ!だからサードの上の上でも良いって言ってるじゃない!」 「ほとんど同じだろ…」 「うるさいわね~今集まったメンバーを見なさいよ! 四人中私とあんたとあいつがセカンド、あいつの妹がサードの上位! ここまでこだわって集めたんだから、いま諦めたら後悔後の祭りじゃない!!」 「だから人が集まらないんだろ?」 「ぐ…」 「…とりあえず…それはいいから神姫センターに行ってポイント稼ぎでもしよう…」 「と、とりあえずとは何よ!」 「それに…」 「…?何よ」 「今からなら学校帰りの奴らが参戦しているかもしれないだろ…」 「…あ、なるほど…よ~し!絶対スカウトしてやる!!」 「はぁ…」 男はため息をついた。どうしたものやら…と。 「いけ!弁慶!!」 「…うん」 広大なバトルフィールド。 荒野を駆ける神姫が一体。 対するは地上を滑るように飛行する神姫。 弁慶と呼ばれた神姫は大地を蹴り、一気に跳躍する。 その右手には巨大な塊。それは【セブン】と呼ばれていた。 【セブン】とはその名の如く、七つの装備が合わさった弁慶が使用するカスタム武装である。 この【セブン】はAM社のパイルバンカーをベースに様々な武装で構成されている。 その装備は一番から 1.パイルバンカー 2.キャノン砲 3.ガトリング砲 4.2連装ビームバスター 5.ミサイルランチャー 6.手榴弾ポッド 7.光の翼 で構成され、状況に合わせて武装を選択、もしくは組み合わせることによって数々の戦局に対応可能にした万能装備である。 しかしその装備重量は通常の武装神姫用装備と比べ、はるかに重く、普通に使用するだけでも多大な苦労を有する。 だが、そんな武装をぱっと見軽々と扱っていられるのは七番目の武装【光の翼】という補助推進システムのお陰である。 逆にこれが機能しなかった場合は単なるカウンターウエイトにしかならないであろう。 地上を駆ける弁慶も、この【光の翼】をたくみに使用して【セブン】を制御している。 これの使い方を理解していない普通の神姫にとっては【光の翼】を使用してもこの巨大な代物を制御するのでやっとで、満足に扱う事はできないだろう。 この【セブン】を満足に扱えるのはマスターの凪千空と共に設計した凪千空の武装神姫、犬型ハウリンがベースの弁慶のみ。 そういう意味では単純に使うだけ、持つだけならなら誰でも出来るこの【セブン】も事実上は弁慶専用の装備と言えるだろう。 そんな弁慶は今日、後一勝でセカンド昇格をかけた試合に赴いていた。 「飛んで!弁慶!」 「…うん」 相手の大型ビームをジャンプで回避、セブンに装備された光の翼を使用して空に浮いた状態から横へ移動。 さっきまでいた場所はビームによって焼かれていた。 「今日は絶対勝つんだから!」 「…うん…!」 「三番で牽制、五番で包囲、七番使用で接近して一番!」 「…わかった…!」 弁慶は相手に対し三番のガトリングを乱射。命中が目的ではないので標準は適当。 「…いけ…」 発射されるミサイル群。しかし相手の移動速度は凄まじい。 「速いなぁ…」 「ミサイル追いつかない…どうする…?」 「ん…よぅし、ミサイルに気をとられているうちに七番で最大加速しよう!そして一番!」 「…言うと思った」 「えへ」 「…ふふ」 やっぱり弁慶は凄いなぁ。言ってる途中から言おうとした行動を実行してる。 「…突撃…!」 広がる翼、その瞬間弁慶の姿が霞んで消える。 狙うは相手の神姫。マオチャオに大型のブースターを多数装備して機動力を向上させているみたい。 「…はぁぁぁ…!」 弁慶が一番、パイルバンカーを突き出す体制に移行する。 「いっけぇぇぇぇぇぇ!!」 相手の斜め後方から一気に突貫する弁慶。でも 「あまいの!」 「…!」 相手マオチャオが急激に方向転換。 ぐるりと一回りしたのち、背部ブースターがその回転によって質量攻撃となり、偶然なのか狙ってなのか…接近しすぎた弁慶に打ち付けられる。 「…くぅ…!」 ドガァァァァァン!! セブンで何とか防御するもはるか遠くへと吹っ飛ばされる弁慶。 そのまま盛り上がった岩の壁に激突する。 「大丈夫!?」 僕は思わず叫ぶ。 「…痛い…でも平気」 岩の瓦礫の中から立ち上がる弁慶。 「注意して!」 次が来るかも!! 「…もうしてるよ」 光の翼を再び展開させて飛び上がる弁慶。 「…どこ…?」 「いない…?」 上空から索敵する。もちろん的にならないように小刻みに軌道を変えて。 「ここだよ!」 「…!」 いきなり下から声。 「弁慶!」 「…わ…!」 下方からのクローアッパーが弁慶を襲う。 弁慶はそれを何とか回避、でも 「ぐぅ…!?」 あるはずのない背中からの衝撃。その衝撃で地面に落下、そのまま激突する。 「な、なに…?」 よろりと立ち上がる弁慶。 「弁慶!右!いや左…え、えぇぇぇぇ!?」 「千空?なに??…え…何だこれ…」 僕達は驚くしかなかった。だって… 「ねぇ、なんかマオチャオがいっぱいいるように見えるんだけど…」 「うん…そう見える…」 弁慶の周囲にはブースターを排除した相手マオチャオがいた。 いっぱい…。 「「??????」」 「いくの!」 と相手マオチャオがう動きを見せる。時には一人、時には二人、三人四人と増えたり減ったり。弁慶の周囲をめまぐるしく動いている。 「え…。うあ…!」 正面からの爪が弁慶にヒットする。次は右、後ろ、左と思わせてまた前…四方八方からの攻撃を受ける弁慶。この状況じゃセブンは盾にしかならない。 「ぐ、あ、わにゃ、くぅ…」 「え、~と…!?」 焦る僕。ええと、こんなの初めてなんだけど~!! 「落ち着け千空…まだ大丈夫…」 「…弁慶…。良ぉし!!七番最大!あれ使っちゃうよ!!」 「…わかった…!」 光の翼を限界起動させる。紅く輝く翼が弁慶を包む。 「にゃ!?」 一瞬ひるむマオチャオ。 「今だ!弁慶ぇ!!」 「…うん…!!」 一気に飛び上がる弁慶。その高度はステージの上昇限界まで達している。 そして今度は一気に急降下。内臓火器を一斉発射して周囲を爆撃。 ガトリングが鋼鉄の雨となり、ミサイルの渦が嵐を呼ぶ。その雲の合間から煌くビームランチャーの光と流星の如く降り注ぐキャノン砲の追撃。おまけに手榴弾ポッドの隕石がマオチャオがいた周囲に降り注ぐ。 これらは当たらなくても良い。当てるのは一つだけで良い! 「わ、わわわぁぁぁ~!!」 いきなりの災厄に驚くマオチャオ。 響く爆音。その時、何の影響かはわからないけれどたくさんいたマオチャオが消えて、一人になった。 「…ラッキー!見えたよ…!」 「…そこ!!」 「え、うそぉ!?」 「いっけぇぇぇぇぇぇ!!」 後は突撃あるのみ!持ち方を変えてパイルバンカーを準備! 僕と弁慶の二人の声が合わさってその名を叫ぶ。 「「七つの混沌(セブン・オブ・カオス)!!」」 ドッゴォォォォォォォン!! パイルバンカーの射突音がステージ内に響く。 「やった…??」 バチバチ… 「……く…」 弁慶の苦い声。 「浅い…の!」 とたんマオチャオの声が響き閃光が走る。それと共に辺りを覆っていた硝煙が吹き飛んだ。 「ねここぉぉ!フィンガー!!!」 「…ぐ、あぁぁ…」 弁慶の苦しそうな声がインカムに響く。 「弁慶!」 弁慶を包む凄まじいスパーク。その出所であるクローは弁慶の腹部に突き刺さり、その体を貫いていた。 「すぱぁく、えんどぉぉぉぉぉぉ!!!」 「くぅ…!!」 一気に閃光が強くなり弁慶が黄色い光に包まれる。 「弁慶!!」 光がやむ。その体から爪が引き抜かれ、ドサリと崩れる弁慶。 「弁慶!!弁慶!!」 「やったの!…え」 勝利を確信するマオチャオこと、対戦相手のねここちゃん。でもその表情が変わる。 「…ぐ…ぅ」 ぐらりと立ち上がる弁慶。セブンを支えにしてキッとねここちゃんを睨む。 さすがに驚いた。 「べ、弁慶…?」 「…はぁ…はぁ…」 ずりずりと体を引きずりながらもなおねここちゃんに接近する弁慶。 「だ、駄目だよ!動いちゃ!」 思わず気遣うねここ。 「…うるさい…まだ負けてない…」 「弁慶!もう良いよ!ねここちゃんの言う通りだよ!」 「…千空…勝つって言った…だから嫌だ…」 「はぁぁあぁぁ~!」 セブンを大きく振りかぶる弁慶。 あまりの威圧にねここちゃんの動きが固まる。 「サド…ン…インパクト…!!」 ドッカァァァァンン!! 響く炸裂音。その鉄槌は当初狙っていたであろう腹部から大きく外れ、ねここちゃんの左肩を掠っただけだった。 それが最後の力だったのかよろけて倒れこむ弁慶。 その瞬間 『試合終了。Winner,ねここ』 ジャッジAIの機械音声が合図を告げた。 「弁慶…」 「…」 マシン内でうなだれる弁慶。 「弁慶?」 「…ごめん…負けた…強かった…」 「うん、強かった。でも弁慶も良くやったってば」 「でもセカンド上がれない…」 「そうだね…セカンド昇格はねここちゃんだね…さすがって感じ」 「…ごめん…駄目な奴で」 「そんな事無いよ!」 「千空…」 「追いついて勝てば良いんだよ!ほら、前負けてから五連勝だよ?だから次は六連勝だって!」 「千空…うん…今度は負けない…あ…」 「ん?」 「駄目だ…」 「え?」 「セブンが…」 「…!」 あらら、完全にショートしてる…。セブンは戦闘システム直結型だから…内部ダメージが限界を超えたかぁ…それとも無茶な強化が祟って寿命がきたかな…。 「ごめん…」 「いいって、また二人で作ろう?」 「千空…」 「もっと強いの作っちゃおう!!」 「…うん…うん!!」 「じゃ、早速帰って製作開始だよ!」 「うん!!」 「どう?」 ねここ対弁慶。その試合映像を見ていた女が聞く。 「良いんじゃないか?」 男が答える。 「そうよね!!間違いないわ!!」 女は意気込んだ。 「さぁ、どうしよっか?」 「…うぅ~ん」 僕達はセブンについてあれやこれやと考えながら帰路につこうとしていた。 そんなセンターの入り口に人影。 「ちょいとそこの君君!!」 「?」 振り向くと女の人と男の人。あ、制服がうちと一緒だ…て事は黒葉学園の生徒? 「そう!君!!」 女の人が僕を指差す。 「その制服は黒葉学園の制服!つまりは生徒!そして神姫所持者でランクはサード上位!!」 「へ、あ、はい…」 僕と弁慶はきょとんとしていた。 「求む!君の力!!黒葉学園神姫部に来なさい!!」 「え、えぇぇぇぇぇぇ~????」 いきなり出てきてこの人は何なんだろう…神姫部?そんな部活あったかな…? そんな僕の疑問を尻目に、僕と弁慶の、神姫を取り巻く世界は確実に動き出した。
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「ジェネシスちゃん、大丈夫っ!?」 「な……なんとかっ。振り落とされないようにするだけで精一杯ですが」 音速を突破し、周囲には音もなく戦場を駆け抜ける二人。 二人が通り過ぎた空間には、直後凄まじいソニックブームが巻き起こり、周囲に配置されていた不運な敵機が吹き飛ばされていく。 それは時間にすればほんの一瞬なのだけれど、激しいGに耐える二人には一瞬とも永遠とも思える時間の流れ。 そして正面に、巨大な電波塔のような建造物が見えてくる。 周囲に敵は今のところ見当たらない、どうやら主力の大半は3~4エリア周辺に配置していたみたいだ。 「あれです! あそこから突入しますので」 「……了解っ。加速解除!……きゃぁっ!?」 ジェネシスを投下するため加速を緩めた途端、塔の根元より複数の強烈な閃光がねここに襲い掛かる。 急速回避して直撃は避けたけど……明らかに今までとは違う精度だ。 「今のは……あいつなのっ!」 「あれは……ネオボードバイザー・ガンシンガー!」 塔の根元に佇む巨大な人影。 それはジェネシスが使用するリボルケインの原型機、ソードダンサーの姉妹機であるガンシンガー。 そして、その巨大なアーマードモジュールの装着者となっていたのが…… 「エスト!?」 ねここの飼い方・劇場版 ~十一章~ 塔より全周波に渡って通信が流されてくる。 その声はそれなりに若い男の声だ。だが声質は歪み、他者を憎しみ蔑む様な雰囲気を滲み出させている。 『どうかね、正義の味方気取りの愚かな武装神姫ども。 その正義気取りにお答えして最高の舞台を用意して差し上げたよ。 友人を打ち倒して世界を守る、か。それとも倒され朽ち果て、我等の手先になるか。お前たちの運命はそれだけだ。』 塔の前に佇むエスト。……いや、今はガンシンガーと言うべきだろう。 彼女の全身はブリガンディモードになったガンシンガーと一体化していた。 「エストちゃん、どうしちゃったの!?」 思わず叫ぶねここ、だが彼女は一切の反応を示さない。その目に輝きは鳴く、ただ命令に従うだけの殺人マシーンのような虚ろな目。 『彼女は思った以上に頑強だったがね、我等の技術力を持ってすれば不可能ではなかったよ。フフフ……無益な抵抗だったな。 ……そして、今は我等の忠実な番犬だ。精々楽しく遊ぶ事だな』 「そんなっ!?」 『嗚呼、忘れる所だった。彼女ごと破壊しても一向に構わんが、その場合全データが修復不能、ついでに本体側も自壊するようしておいた、まぁ精々頑張りたまえ』 男が言い終わると同時にエクセルビームライフル“ロンゴミニアド”を構え、連続して狙撃をしてくるエスト。 『ねここ急速回避!』 「やってるけど、でもっ!」 再び再加速を掛け火線から逃れる。しかしその射撃は正確かつ高出力で、直撃こそないけれど各部装甲がチリチリと悲鳴を上げ始めている。 それに、しがみ付いているだけのジェネシスへの負担が大きい。 『ねここはエストちゃんの相手を! ジェネシスはこのまま突入してください、急いで!』 「しかし、ねここだけではっ!」 「行って! ……何時までも背中に乗られてると……足手まといなのっ!」 ねここはそう断言。でもその目からはポロポロと涙が溢れ流れて…… 「わかりました……マスター、リボルケインを!」 『おぅ! やっちまえジェネシスっ』 シューティングスターよりダイブ、自由落下していくジェネシス。 やがて、彼方から飛来した戦闘機にタイミングをあわせ絶妙に着地。 「モードブリガンディ!」 ジェネシスが鋭く叫ぶ。同時にリボルケインが展開、ジェネシスを包み込むようにして装着。 白銀の帝王、爆誕! 『続いて行くぞ!』 「了解です……ツゥゥゥゥゥル!!コネクトォォォォォォ!!!」 リボルケインに続き彼方から飛来したマイナスドライバーを、天高く掲げた右腕に装備! 「ディバイディング!!ドライバァァァ!!!」 そのまま勢いを殺すことなく、いやそれどころか推力を全開にして塔の基部に特攻をかけるジェネシス。 「…若い…」 だがその突入位置を容易に予測したエストがチャージングチューブを接続したロンゴミニアドを構え、最大出力でジェネシスを撃ち砕かんと待ち構えていた。 特攻してくるジェネシスを悠々と待ち受け、その破壊の槍で粉砕せんとするエスト。 『ねここ!』 「そんなこと、させないのっ!」 ジェネシスを撃ち抜かんとするため、ねここへの砲撃は止まっていた。砲撃が停止した瞬間ねここは艦首を翻し、主砲のローエングリンを放つ。 目標はロンゴミニアド。だけど旋回中に発射したビームは目標を外れ、エストの足元へ着弾。 「死ね」 「おりゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」 フル出力の一撃は直撃コースを外れ、虚しいエネルギーの浪費と終わる。地面を抉ったビームはエストの足場を切り崩し、それが運良く照準を狂わせたのだ。その隙にジェネシスは電脳空間を切り裂き、中心部へとダイブを敢行する。 『ち、追えエスト……Gを八つ裂きにしてしまえ』 「は……」 まだ開いたままのゲートへ突入せんとするエスト。だが、その寸前、側面からの一撃にエストは大きく吹き飛ばされる。 ねここが加速をかけて体当たりをかけたのだ。シューティングスターの推力に物を云わせた強引で強烈な突進。 そのままゲートの前に立ちはだかり、ファイティングポーズを取る。 やがて吹き飛ばされたエストもゆっくりと立ち上がる。重装甲で全身を覆ったエストにダメージは感じられない。 出力と装甲が違いすぎる。だけど…… 「絶対に……ここは通さないんだからっ!」 『どうだジェネシス、中核反応はあったか?』 「はい……キャッチしました。あと50」 一方ジェネシスは制御プログラムの階層まで潜り込んでいた。 やがて彼女の前に姿を現す、空中に浮かぶ巨大な金属球。神姫よりもそのサイズは遥かに大きい。 「……あれですね、一気に行きます!」 ジェネシスが全身に内装された砲門を展開する。Gのキャノンが、両腕のビームユニットが、腰のヴェスバーが。 そして周囲には残存していたドラグーンが。全砲門が目標である金属球へと照準を合わせられる。 その時、金属球に赤いラインが浮かびあがる。それは金属球に目の様な模様を書き上げ、同時に内部より何本かの細長い円柱状のフレキシブルアームがせり出してくる。 「な!?」 ジェネシスがその変化にひるんだ瞬間、アームの先端より放たれる多数のリングレーザー。 ブリガンディモードでは小回りに欠けるため、大きく回避半径を取らざるを得ない。攻撃態勢を解除してスラスターで回避行動を取る。 更に追撃のつもりか、目に相当する部分から極太の拡散レーザーを発射。 ジェネシスはリボルケインを巡航形態にチェンジさせて一旦後退、間合いを取る。 『……ありゃタングラムか。自衛プログラムとして、HOSの暴走起動用プログラムに融合させてやがる』 「逆に言えば、アレにワクチンを撃ち込めばこの事態を収拾出来るわけですね」 『そうなるな……よし、全力でぶちかましてやれ!』 「はいっ! モードブリガンディ!」 全推進系を全開にし、超高速で突撃。咆哮と共に再び鎧を纏い、悪を断つ剣と共にタングラムへと突き抜けてゆく。 それを迎撃するように、タングラムの目からは極太の収束レーザーが射出される。だがそれをエクスカリバーで歪め切り裂きながら突撃するジェネシス、そして。 「必殺!リボルクラッシュ!」 雷光一閃! 彼女の鮮やかな一撃は、巨大なタングラムを完全に真っ二つに分断させた。そのままデータの藻屑となって崩壊していくかに見えたタングラム。 だが… 「そんな、復活した!?」 ジェネシスの叫びが木霊する。一瞬崩壊していくかに見えたタングラムは損傷部分を修復、直ぐに元の状態へと復元を果たしてしまった。 「アイツは無敵なんですかマスター!?」 『ちょっと待て、今のでデータが取れた。……何処からか修復プログラムが流入して復元されたらしいな。流入元はこの近辺じゃない……ルート検索。……いた。補修プログラムを持ってるのは…ガンシンガー!』 『……という訳で、アイツを倒さないとワクチンが投与出来ないみたい。ねここ……お願いっ』 『しかも厄介な事に同時にだ、片方だけ破壊しても互いに補完しあうらしくってな。ジェネシスの方は準備万端……あとは其方次第だ』 「な……なんとかやってみるのっ!」 そうは答えてくれるものの、戦況は悪い。 元々ネオボードバイザーと武装神姫では出力と装甲に雲泥の差がある。 出力に物を云わせ総計5門のビーム砲を連射、尚且つエストの高い処理能力によってその射線は正確無比。 ねここもイリュージョンシステムで撹乱を行うものの、砲撃ではエスト諸共吹き飛ばしかねないので迂闊に攻撃が出来ない。 『何か手段があるはず……何か』 ガンシンガーのデータを手元のコンソールに呼び出し、機体特性を調べ上げる。 変形システムを搭載してる機体は大抵の場合各種機構が複雑になり、脆い部分が存在しやすくなる。その辺りに突破口がないだろうか。 だがこの機体は全身に渡ってフレームが走ってる上に、素体と合体することにより負荷の分散を図ってる。 太腿部分は露出してる。しかしエストに一部でも傷を付けた場合どんな悪影響が出るかわからないので、迂闊に脚部を切断するわけにも…… アーマーの配置状況はどうだろう。脚部、腕部…胸部、これなら…いけるかもっ。 『ねここ、今から送る戦術を試してっ!』 「あいあいさー☆」 ねここにも私の気持ちが伝わったのか、急に陽気な声になる。 シューティングスターを背負ったまま、軽やかに幻惑のダンスを踊る。背中に重量級の物体を背負っているとは思えない身軽さ。 ガンシンガーの周囲に出現し続ける無数のねここ。それに対して全身の火器で片っ端から撃ち落してゆくガンシンガー。 だけど全て素通り、ホログラフが虚しく拡散するだけ。何故ならねここは…… 「こっちだよっ!」 遥か上空、相手の真上から急降下を掛ける! 同時に両舷のローエングリン砲口部からビーム刃を展開。それはライフルの全長に匹敵し、サーベルというより長大な騎兵槍とでも言うべきシロモノ。 中世の騎兵のように、いや其れとは桁違いのスピードを以って空間を駆け抜ける流星。 『馬鹿め、一撃で撃ち落してやれエスト!……どうした、おぃ! 早くしろ!』 それは偶然、いや彼女の意思の力による必然か。ほんの僅かに、だけど確実に動きの鈍るガンシンガー。 「……せ……ぃ、さ…せませんっ!」 うっすらと瞳に生気の戻ったエスト。だけど彼女は覚悟を決めた様に瞳を閉じ 「私……もろとも……」 閃光となって迫ってくるねここ対し遺言のように呟く。 「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」 ずぶりという音がしそうな程、易々とガンシンガーの左右胸部上面に深く突き刺さるビームランサー。 それはガンシンガーの装甲部分のみを貫く様に…… 唯一の支えが外れ、剥がれ落ちる胸部装甲。同時に装甲の支えを失ったエストの身体もグラリと崩れ落ち始め……そこを両腕でキャッチ、そのままガンシンガー本体より引き抜いて一気に離脱するねここ。 ガンシンガーの胸部装甲はポンチョのように上から被せる方式、だから上面装甲を切り離せばそのまま引き抜けると思ったのだ。それは大成功。 そして急旋回し、抜け殻だけになったガンシンガーへ再び槍先を向ける。 『ねここ、フィニッシュ!』 「了解なのっ、ねここブースタァー!!!」 最大加速して正面から突っ込む! ガンシンガーからは無数のビームが放たれるものの、先ほどまでの正確無比な射撃とは無縁の素人以下の乱射程度だ。 激突寸前、自らを切り離し急速離脱するねここ。 先程までねここがいた場所には、背部に装着されていた旋牙が前方配置され唸りを上げて回転している! 「ゴー!!!」 『なんだとぉぉぉぉぉぉ!?だからドリルは取れと言ったのだぁぁぁ!!!』 ガンシンガーの各部に深く食い込み、抉り、そして突き抜けるシューティングスター。さしもの重装甲も全推力を背に受けた旋牙とビームランサーの破壊力には無力だった。 そして突き抜けたシューティングスターが旋回、そのまま天頂から最早残骸となったガンシンガーへと最後の突撃を掛ける。 修復される可能性がある限り完璧に破壊しなければいけない。 「……ごめんねっ!」 同時刻 ウイング内に仕込まれたGのキャノン、両腕のビームユニット、腰のヴェスバー。そして周囲のドラグーン。 全砲門を、既に戦闘力を無力化させ瀕死のタングラムへと向け、射撃体勢を取っていたGが咆哮する! 「この力……今こそ解放の時!」 二つの場所で同時に発生する閃光、それはこの戦いの終焉の鐘を鳴らすかのよう…… ~終局~ 「ホストコンピュータ、完全に乗っ取られました! 制御…不能!」 「電源落ちません! 主動力室ごと止めないと無理ですっ」 制御室にオペレーターたちの報告、いや悲鳴が響き渡る。無益と知りつつも全力で対処しようとする人々。 やがて、ドサリと背後で何かが崩れる音がする。 「そんな……馬鹿な……」 つい先程まで絶対の自信を漲らせ指揮を執り続けていた、彼らのリーダー格の男。 ソレが椅子に崩れ落ちたのだ。 「脱出しましょう教授! 乗っ取りによってこちらの場所が判明したとしても確保した足止め用の神姫どもがいます。ヤツらを盾にすれば十分時間は稼げます。今のうちに……」 傍らにいた若い男がそう助言する、だが…… 「残念でしたね、皆々様♪」 後背のドアが突然無礼に開き、逆光と共に一人の少女が現れる。 「な…貴様何処から!? いやそれ以前に警備は何をしている!?」 責任を擦り付けたいのだろうか、誰に向かってかも判らない怒号で叫ぶ男。 「何処って……此処のドアからに決まってますでしょう。それと、暴走神姫たちも残さず返して頂きましたよ」 挑発的な瞳で切り返す少女。 「そんな筈はあるか! 何百いたと思ってるんだ!? おい、やっちまぇ!」 傍らで立ち尽していた警備用のアムドライバーに命令、いや嗾ける。 彼らには対人攻撃防止プログラムはない、少女を有機物の塊にせんと一斉に飛び掛ってゆく。 「ふん、遅いね」 次の瞬間、間接部を綺麗に切り裂かれボトボトと床に落下していくアムドライバーたち。 少女の前に、天使と見紛うばかりの-翼-シルエットを持った武装神姫が浮遊していた。 「ありがとマルコ。助かるわ」 「何言ってるんです、わざわざ挑発なんかして。万が一だってあるですからね」 まるでピクニックにでも行くような調子で会話をする二人。 その隙に反対側のドアから脱出しようと、何人かの男が慌てふためきながらも駆け出す。 「全員動くな!」 発砲音の後、反対側のドアが倒れる。誰かがドアの接合部分をショットガンのような物で破壊したのだ。無論その誰かはすぐ判明する。 倒れたドアの向こうには今しがた拘束命令を飛ばしたアーンヴァル型の神姫と、数十体に及ぶヴァッフェバニー型が銃器を構えて殺到していた。 驚き倒れた男の一人が、混乱しつつも懐から拳銃を取り出し神姫を撃ち抜こうとする。 だがそれは無益だった。銃を突きつけた時点で銃身がドロドロに誘拐してしまったのだ。 それはアーンヴァルが放ったレーザーライフルの一撃。彼女らもまた対人用として殺傷力のある武装を装備していたのだ。 「それ以上抵抗すると……痛い目みますよ?」 敗北を悟る男たち。全員が力なくその場へと項垂れた。 「あれ……私何やってるんだっけ」 「ボクなんでこんな格好してるんだろ?」 ワクチンの効果は直ぐに現れ始めていた。 それまで暴走し、獲物を求め彷徨っていた神姫は次々に正気に戻っていく。 満身創痍の十兵衛とリン。 それを延々と包囲し続けていたホイホイ軍団も、乗っ取り成功により消滅。 二人の目の前でキラキラとポリゴン粒子に変換され消えてゆく。 「……勝利……か…」 「みたいです…ね。つ…つかれましたぁ」 へにょりと背中合わせでその場にへたり込む二人。でもその表情は達成感に満ち溢れていて。 「終わったみたいですね、よかった……二人は無事でしょうか」 気の抜けた表情で溜息混じりに呟く雪乃。 「大丈夫ですよ。貴方が信じてあげなくてどうするんです」 今度は自分の番だな、と雪乃を励ましにかかるココ。 「そうですね……」 「おーぃ、ユキにゃ~ん♪ ココちゃ~ぁん☆」 彼方から聞こえるねここの声。 二人が声の方を見合わせる。そこには夕日をバックにジェネシスのリボルケインに乗り彼女たちの下へやってくる、ねここ、ジェニー、エストの姿が。 「ねここーっ♪」 思わず手を振りながら飛び出してゆく雪乃。 「ユキにゃんっ☆」 嬉しさのあまり、リボルケインから思わず飛び降りダイブ! 「わ…っ、よ・・・っと。……ふぅ、危ないですよねここ」 「ユキにゃん、ナイスキャッチなの☆」 「……おかえりなさい、ねここ」 「うんっ、ただいまっ♪」 そこには何時もの、見る者全てを幸せな気持ちにさせてくれる、満面の笑みを溢すねここがいたのでした。 Fin~ 続く
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MMS戦記 登場MMS MMS戦記に登場する主な神姫を紹介します。 戦闘爆撃機型MMS「シェライ・ドラッケン」 :カタリナ社・第1開発局製 :主兵装備 アサルトライフル×1丁 2mm機関砲×2門 マイクロミサイルポッド×2個 ビーム・ブラスターキャノン×4門 中型ミサイル×4基 迎撃ミサイルポッド×2個 チャフフレア×4基 小型同軸機銃×1門 脚部隠しライフル砲×2門 サバイバルナイフ×1本他 空中戦闘だけではなく対地攻撃能力にも優れた重装甲重武装の航空MMSである。 生残率を高める堅牢な装甲板、自動消火装置などの装備に加え、見た目に反し良好な運動性能があり、格闘戦を得意とする軽戦闘機を撃破するには最適の機体で、折畳み式の脚部を備え可変能力を有していたこともあって、初期のバトルロンドでは主力戦闘爆撃機型MMSとして活躍し、無難で堅実な設計が期せずして合理的な性能を発揮する。遠中近距離に全ての距離に対応可能であり、ミッションに応じて武装を換装するだけで高い汎用性能を持っている。これは武装全体がブロック構造を取り入れてリアパーツのコアに接続するだけで多種多様な武装を搭載できるように設計されているためである。 弱点はこのクラスの戦闘機型MMSとしては低速だった事であるが、それでも重武装の悪魔型や戦車型よりは優速であり、必要にして十分であった。限られた出力のエンジンで最大限の性能を発揮するため極力まで軽量化されたアーンヴァルに対し、大出力のエンジンを得て余裕のある設計がなされたドラッケンは全く正反対の性格の戦闘機であり、フロントライン社とカタリナ社の戦闘機型MMS設計に対する思想の差を象徴しているとも言える。 旧式のMMSで2030年代の初期の登場から10年以上経過しているが、余裕のある機体設計と高い防御力と汎用性で2040年代でも現役でアップデートや改良が加えられて相当な数が運用されている。 「ドラッケン」名前の由来はドラゴンの訛った言い方が元である。 天使型MMS「アーンヴァルMKⅡ/テンペスタ」 :フロント・ライン社製 :主兵装備 レーザーライフル×1 アルヴォ機関銃×2挺 M8ライトセイバー×2 アルヴォPDW11ブレイド×1 LS9レーザーソード×1 ココレット×4発 FLO-16アーンヴァルmk.2はフロントライン社のベストセラー機種アーンヴァル系列の最新モデルである。2040年代を代表する航空MMS。 初期モデルのアーンヴァルは、改修、追加パーツによるアップデートが限界を迎えていたため、素体を新規格で新造し武装の機能を統合パッケージ化したもの。これまで戦闘スタイルによって選択していた単能武装を個々のパーツに複数の機能を持たせることにより、一体の神姫が無理なく扱えるサイズにまで小型化している。本機―FLO-16/T アーンヴァルmk.2テンペスタは武装搭載量を重視した攻撃タイプのバリエーション。 追加された大型ウィングと脚部バランサーにより中低速域での飛行安定性の向上を実現。また大量の武装を効率的に管理するためヘッドセンサーは一回り大型のものに換装された。 「テンペスタ」名前の由来はイタリア語で嵐、暴風雨という意味。 コルベット艦型MMS 「バッカニア」 :カタリナ社第5開発局製 :主兵装備 MKS40 2mm速射砲 大型多目的ミサイルランチャー スタンダートミサイル 単装機関銃 巡航ミサイルなど カタリナ社が開発したコルベット艦をモチーフとした武装神姫。 バトルロンドでは従来の戦艦型MMSは強力ではあったが大型で鈍重、目立ちやすかった。そのため2040年代以降ではより小型のポケット戦艦型MMSという豆戦艦まで現れたが、それでも並みの神姫の数倍の巨体であった。そこで登場した本級で装甲や火力は戦艦型MMSに比べ劣るが、機動性や速力、隠密性を高めた汎用小型艦MMSが登場した。ステルス性を配慮した特徴的な設計が行われており、また、全長200mm級の小型の艦型ではあるが、レーダー波を反射しにくいよう、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)が採用されているなどの特徴がある。高性能レーダー・ソナー、センサーなどの電子機器と、長射程・高発射速度の2mm単装速射砲の組み合わせは優れた戦闘能力を発揮でき、戦艦型MMSよりも小型・高速・軽武装で、戦闘のほか哨戒、強行偵察、護衛などに使用され、対地・対潜・対空作戦能力を有し、戦列を組むような大きなバトルロンドでは、戦艦型MMSの補助を主に行った。小型で軽量な点を生かしてさまざまな運用法で活躍し、この種の小型艦型MMSの有用性を示した。コストパフォーマンスに非常に優れているので相当な数が量産されて広く使われている。 問題点として、バランスは良く安定したスペックを持っており、使いやすさを突き詰めたモデルではあったが、戦いにおける合理性を求めすぎて、派手さや美しさとは無縁の非常に地味な実用神姫になってしまった。 名前の由来の「バッカニア」とは大航海時代に国の許可を得て敵国の略奪を行った私掠海賊のことを指す。 小型だがコストパフォーマンスに優れていた。 砲塔が速射砲型とミサイル型の2種が存在する。 輸送艦型MMS 「リバティ」 :カタリナ社第5開発局製 :主兵装備 対空連装機関砲×2門 カタリナ社が建造した輸送艦をモチーフとした支援用MMS。 元々は普通の商船貨客フェリーを改修した艦船タイプの大型神姫。2段式の甲板を持ち、下部に乾ドックを持ち、MMSや車両、または潜水艇を搭載し輸送することが可能。また支援物資や燃料、武装なども搭載可能。前後にランプが設置され搭載力は非常に高い。 完全に支援に徹した運用を目的をした神姫で地味でぱっとしないが、集団バトルロンドでは1隻いると非常に便利な神姫であった。高い搭載能力を生かし様々な運用で可能で、使い方しだいではなんでも出来た。 甲板に航空MMSを搭載し、軽空母として使われたり、大口径砲を搭載させて仮装巡洋艦のような使い方をしたり、砲台型、戦車型MMSを乗せて浮砲台になったり、大量の機雷や爆雷を乗せて機雷施設艦の役割を行なったり、ときには潜水母艦になったり汎用性は非常に高かった。 とりあえず、一隻いれば何かと便利に使えためバトルロンドでは重宝されたが、攻撃力は貧弱、機動力は無きに等しく鈍重で、貨物船など既存の商船を改造したため、装甲等の防御力は申し訳程度しかなく、爆撃や砲撃で簡単に沈められた。
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「無茶苦茶なコンセプトだな。私が言うのも何だが……正気とは思えんぞ?」 「店長にもそう言われました」 「だが、そこまで否定されてもやる気なんだろう?」 「そっちのほうが面白そうですから」 「……気に入った。調達してやろうじゃないか。連絡先は日暮の所で構わんか?」 「あ。携帯の番号でもいいですか?」 店の奥から静香と店長が出て来たのは、私とロッテの話がひと段落した時だった。 「終わったんですか? 静香」 「ええ。晶さんのおかげで、目処がつきそう」 店と言っても、いつものエルゴじゃない。静香と一緒に出て来た店長も、エルゴの日暮店長じゃなくて、こど……。 「……ココ。それ以上言ったら、マイスターの膝が飛びますの」 「神姫に対しても容赦無しですか」 人のモノローグ読まないでくださいロッテ。 「いくら私でも、そこまで情け無用じゃないぞ?」 うわ聞こえてた。 とにかく。 ここはエルゴじゃなくて、秋葉原のMMSショップ『ALChemist』。静香の隣にいるのは、ALChemistの店長さんこと槇野晶さんだ。 静香と並ぶと姉といも……っと。これ以上言うのも問題がありそうなので、このくらいにしておく。 「賢明な判断だ」 だからモノローグ読まないでくださいって。 「とりあえず、イメージ通りの物が出来そうよ」 「新兵器……ですか?」 それは、私が望んだ『遠近両用で使えて、空も飛べる装備』のこと。いつものことだけれど、静香はその全貌はおろか、概要されも話してくれていない。 「ココが宿題の答えを出してくれたら、すぐにでも使えるんだけどなー」 私は静香から、ひとつの『宿題』を出されている。 『静香が私に何をさせたいか?』 それの答えが分かるまで、新装備は使わせてはくれないのだという。 「……」 宿題を出されて既に半月が過ぎた。 静香は椿さんのスーツを納品し、私は武装トランクで新しい戦い方を模索していたけれど、宿題の答えだけは見えてこない。 私の『静香は私にドキドキハウリンをさせたい』という考えは、完全な的外れだったようだし。 「そうそう。近くに面白いお店が何軒かあるから、帰りに少し回っていきましょう」 私がこんなに悩んでいるのに、この人は憎らしいほどいつも通り。 まったくもう。誰が私とそっくりなんですか? 静香。 「ほぅ。どこに寄るつもりだ?」 晶さんの問いに、静香は私の知らない、いくつかのお店の名前を口にしていた。三つ目あたりを過ぎたあたりで、晶さんの顔が渋るような、困ったような、微妙な表情に変わっていく。 片手を上げて遮ったのは、五つ目だった。 「もういい。十分だ。アレの話を聞いたところで予想は付いていたが……貴様の趣味は良く分かった」 そう呟いて、ため息を一つ。 「……?」 静香の趣味だから、相当変なセレクトだったんだろう。まあ、いつものことだ。 「じゃ、行くわよ。ココ」 いつものトートバッグを取り上げて、静香は外へと歩き出す。 「はい。またね、ロッテ」 私もその後を追い、私の定位置へともぐり込んだ。 「またですの。ココちゃん」 静香の顔が見える、サイドポケットへと。 魔女っ子神姫ドキドキハウリン その15 お昼ご飯を武士子喫茶……武士子喫茶というのは、紅緒みたいな甲冑を着た人間の女の人がウェイトレスをしている軽食屋のことだ。私には理解できなかったけど、今の秋葉原の『最先端』らしい……で済ませ、私達がやってきたのは秋葉原の外れにある小さなお店だった。 秋葉原に林立する雑居ビルではなく、ログハウス風の、喫茶店を改装したような建物だ。 「静香。これ、何て読むんですか?」 入口に掛かった大きな木製の看板には『真直堂』とある。 しんちょくどう? 「ますぐどう、って読むのよ。ごめんくださーい」 静香は何度か来たことがあるらしい。慣れた様子でドアを押せば、カランとベルの音が鳴る。 「ここ……」 足を踏み入れた瞬間、木と布の匂いがした。 周りを見れば、ずらりと並んでいるのは神姫サイズの服と家具。店の隅の方には、見慣れたアクリルケースや金属缶も置いてある。 神姫素体や神姫用オイルまで置いてあるここは……。 「神姫ショップ……ですか?」 品揃えだけ見れば間違いない。 けれど、私は疑問符を外すことが出来なかった。 エルゴ、ALChemist、駅前の神姫センター。神姫ショップには必ずあるはずの物が、見当たらなかったからだ。 対戦筐体じゃない。それよりも必須と言うべきあれが、ここには一つもない。 「ちょっと違うけど、まあそうね」 静香の答えも、私の疑問を解かすには至らなかった。 木と布、プラスチックとオイルの間を進んでいけば、やがてカウンターが見えてくる。 「やあ、君か」 そこにいたのは、大柄な男のひとだった。 エルゴの店長さんよりは少し年上だろうか。もしかしたら、ヒゲのせいでそう見えるのかもしれないけれど。 「お久しぶりです」 どうやら静香は彼とも顔見知りのようで、軽く頭を下げてみせる。 「静香、お知り合いなんですか?」 「ココは初めてだったかしら? TODA-Designでお世話になってる、武井さん」 もちろん、初めてだ。 けれど、TODA-Designは静香の個人ブランドのはず。師匠は別にいるし、それ以外にお世話になっているということは……答えは一つしかない。 彼こそが静香の服を量産している『業者さん』なんだろう。 「ココです。いつも静香がお世話になっています」 サイトポケットからカウンターに降りて、丁寧に頭を下げる。 「そうか。君が……ココか」 「?」 武井さんの言葉に、私は首を傾げた。 不本意だけど、ここでドキドキハウリンの名前が来るなら分かる。何というか、アレの知名度の割に、私の本名は知られていないのだ。酷い時には、私の本名がアレだと思っている人もいるくらいで……。失敬な話というか、正直泣きたくなる。 ……話が逸れた。 「私に、何か?」 武井さんの目つきは、どこか不自然だった。 いやらしいとか、気持ち悪いとか、そういう悪い感じじゃない。どちらかといえば、私を見て懐かしむような、優しい雰囲気だ。 私とは初対面のはずなのに、どうしてだろう。 「……いや、エルゴでモデルやってる神姫がいるって聞いてたからね。どんな子か気になってたんだ」 「そう、ですか」 本当にそれだけなんだろうか。 でも、今の武井さんはごく普通の男のひとだ。さっきまでの懐かしむ視線はもうどこにもない。 「では、改めてはじめまして。武井隆芳です。こっちは、僕の神姫のタツキさん」 その言葉に、カウンターの上にある揺り椅子に腰掛けていたドレス姿のツガルが、軽く頭を下げてくれた。 「本当はもう一人いるんだけど……」 「彼女は二階ですか?」 「うん。仕事中だろうから、また後で紹介するよ」 仕事をしてる子なんだ。すごいなぁ。 そんな事を思っていると、さっきのドレス姿のツガルがこちらに寄ってきていた。 「よろしくね、ココ」 ドレス姿に合わせたファッションなんだろうか。ツガルのトレードマークのツインテールが、左だけしかない。 「よろしく、タツキ」 伸ばされた手をそっと握り返せば、柔らかい笑顔。 「ココ。あたしは少し、武井さんと話があるから。タツキ、ココを案内してくれるかしら?」 「ええ。任せて」 静香の言葉にも、穏やかに微笑み返す。 私の知っているツガルタイプは勝ち気で尖った性格の子が多いけど、タツキはそれとは対照的なおっとりとした子だった。どちらかといえば、アーンヴァルに近い気さえする。 「戸田君がいる君には必要ないと思うけど……お客もいないし、ウチの商品もゆっくり見ていってくれ」 「はい、ぜひ」 そして、静香は武井さんと二階へ上がっていき。 一階の店舗には、私とタツキだけが残された。 長手袋をはめた細い手が、ハンガーに掛けられた服をすいと採り上げる。 「まだ寒いから、長めのコートなんかどうかしら? ココももう少し可愛い色のほうが似合うわよ。きっと」 「可愛い色、ですか……」 そういうの、苦手なんだよな……。 タツキはふわふわのドレスを嬉しそうに着ている辺り、可愛いのも平気なんだろう。 「そういえば、TODA-Designの服ってもっと可愛いのが多い気がしたけど……ココの服は、何て言うか……随分地味なのね?」 機能的って言ってください、タツキ。 それにこのモスグリーンのコート、気に入ってるんですよ? 「可愛いのって、あんまり好きじゃないんですよ。ひらひらとか、動きにくくありません?」 「ああ。そっちが好みなんだ」 はいと答えながら、渡された淡い桜色のコートをフックへ戻す。 「じゃあそれ、静香のオーダーメイドなんだ?」 「ええ。まあ」 静香が私にくれる服の半分はエルゴで売る商品の試作品だけど、残りの半分は専用に作ってくれる。もっとも、専用の大半はレースやフリルがたっぷり付いた可愛すぎる服なんだけど。 あの人の場合、私の服の好みを分かっててやってるからなぁ……。 「武井さんはタツキの服は作らないんですか?」 私の問いに、タツキは苦笑い。 「その代わりに、この店の服は全部私のだから」 あー。言っちゃいましたね。 「まあ、縫製工場の管理とか、こっちでの販売とかデザインとか、オーナーも色々忙しいし。なかなか私やお姉ちゃんのためだけってわけにもねー」 「なるほど……」 プロでお店の経営もするとなれば、色々とする事が多いんだろう。学生兼業とはいえバイトの身分である静香とはかなり状況が違うらしい。 「じゃ、こっちのジャケットは?」 次にタツキが取ってくれたのは、淡い草色のジャケット。 「ああ、そのくらいなら……」 そんなに派手じゃないし、割と好みのデザインだ。 「あれ? この服」 タツキから受け取ったところで、気が付いた。 「どうかした?」 「これ……防弾繊維、使ってないんですね」 静香の服よりも手触りが数段柔らかい。 神姫産業の恩恵で、対刃・対弾性能を併せ持つ防御素材も驚異的に薄く、柔らかくなった……らしい。とはいえ小さな神姫の服に装甲素材を組み込むわけだから、服の肌触りは木綿や絹に比べて当然悪くなる。 私はあの少し硬い感触が好きだから、普段も結構着るのだけれど……戦闘用とおしゃれ用を完全に切り分けている神姫も多いという。 「この店の服はバトル用じゃないからねー。外の看板、見なかった?」 私の言葉に、くすくすと笑うタツキ。 「看板……」 真直堂って書いてあった、あれですか? 「神姫だけじゃなくてね、ドール全般専門のお店なのよ。だから神姫ショップって付いてないでしょ?」 ああ。そうか。 だからこの店には、木と布とプラスチックはあっても、鉄……即ち、武装は売っていないんだ。 「まあ、最近は神姫の服を買いに来るお客さんが一番多いんだけどね」 確かにタツキを見ても、武装神姫といった雰囲気は微塵も感じられない。 「タツキはバトルはしないんですか?」 私の質問にも、笑顔ですぐに答えが来る。 「みんながする分には否定はしないけれど……私は殴り合うより、みんなでお茶したり、可愛い服を沢山着る方が何倍も楽しいわね」 戦っていても、お茶をすることは出来る。戦っていても、プライベートで可愛い服を着ている神姫は沢山いる。 戦う神姫を喜ばせるため、可愛い服を着せたいと願うマスターも、沢山いるはずだ。 「……あ。戦闘兼用服のモデルさんに言う台詞じゃなかったわね。ごめんなさい」 「いえ、気にしないでください」 タツキの言葉に悪気はない。腹も立たない。 ただなんとなく、『勿体ないな』という感想だけが浮かぶ。 そんな事を話していると、玄関のベルがカランと鳴った。 「いらっしゃいませー!」 「いらっしゃいませ!」 ……あ。ついいつものクセで。 「ふふっ。今日はココはお客様でしょ?」 もう。そんなに笑わなくても良いじゃないですか、タツキ。 「今日は賑やかだねぇ」 入ってきたのはスーツ姿の男のひとだった。 糊の効いたシャツに、品の良いネクタイ。どこからどう見ても、これから仕事に出掛けるビジネスマンだ。 「今日は遅かったんですね。お休みかと思ってました」 「ああ、午前中は営業先に直行だったからね。一度家に帰って、これから会社でひと仕事さ」 慣れた手つきでカウンターにカバンを置き、フタを開ける。このカバン、どこかのブランドの最高級品だったはず。 近所のオフィス街の人なのかな? 「こんにちわ。タツキ」 「ご機嫌よう、ベルベナ」 でも、最高級のカバンの中から出て来たのは、なぜかヴァッフェバニーだった。 一流のビジネスマンが神姫オーナーっていうのは、エルゴでもよくある話だけれど……。 「それじゃ、みんなに迷惑掛けるんじゃないぞ? ベルベナ」 「イエス、マスター」 そのベルベナをひとり残し、ビジネスマンは真直堂を出ていった。これから会社に戻って仕事をするんだろう。 「それじゃベル、二階に行っててくれる? 私、お客さんの相手をしなきゃいけないのよ」 「ええ。大丈夫ですよ、タツキ」 タツキにもベルベナにも、いつものことらしい。軽い様子で、ベルベナは静香達が消えていった二階行きの階段へ向かう。 「……二階に何があるんです?」 「あら。気になるなら、行ってみる?」 もちろん、私に選択肢は一つしかなかった。 その光景に、私は目を疑うだけ。 「ようこそ、こびとの靴屋へ」 真直堂の二階は、巨大な縫製工場だった。 次々と断ち切られる布、唸りをあげるミシンの群れ、驚くべき速さで仕立てられていくドール服。 それだけなら驚くに値しない。 驚くべきは、その全てを神姫が行っている、という一点だった。 それはまさしく、絵本で読んだ『こびとの靴屋』と形容するのが相応しい光景だろう。 見れば、さっきのベルベナも他の神姫達に混じって布の裁断に加わっていた。裁ちバサミではなくハグタンド・アーミーブレードを使っているあたり、らしいといえば……らしい。 「この神姫達は……?」 私の頭に浮かんだのは、神姫レンタルブースの事だった。あそこの神姫達は、捨てられていた所を…… 「全員アルバイトよ」 ……は? 「アルバイト!?」 神姫が、アルバイトですか? 「エルゴに神姫の学校ってあるじゃない。あれと似たようなものよ」 「はぁ……」 神姫オーナー最大の悩みといえば、今も昔も変わらない。自分がいない間、神姫の面倒を誰が見てくれるかの一点に尽きる。 私のように静香のお母様がいたり、隣にジルがいたりすればいい。一人暮らしのマスターが寂しがりの神姫を一体だけ買ってきた、というケースは数知れず。 そこの需要を直撃した神姫の学校は、成功を収めたわけだけれど……。よりにもよって、バイトですか。 「ウチの店って、前は神姫の預かり所も兼ねてたのね」 「はぁ」 どうやらこの広いスペースは、その時からの物らしい。 「でもそれじゃ、オーナーの手間ばっかり増えてね。だったら、みんなでオーナーを手伝えばいいじゃない、って事になったのよ」 確かにフロアは明るいし、みんなおしゃべりしたり、歌を歌ったりしながら楽しそうに仕事をしてる。少なくとも、働かされてる、って感じはどこにもない。 「手伝いに入る時間はマスターの都合に合わせて自由。まあ、そのぶんバイト代はそんなに出せないけど……私達の維持費の足しくらいにはね」 「……じゃあ、裁縫の出来ない子は?」 もしかして、面接なんかもあるんだろうか。 それはそれで、何か違う気がする。 「別に、縫製だけが仕事じゃないもの。最低、近接武器がちゃんと使えれば仕事はあるしね」 よく見れば、フロアにいるのは裁縫や裁断をしている神姫ばかりじゃなかった。 試作品の服を着て走り回るマオチャオや、大鎌で家具用の材木を叩き斬っているハウリン、まかないらしき料理を作っているアーンヴァルもいる。 「あのマオチャオは、耐久テストですか」 「さっすがモデル経験者」 静香にもよくやらされますから。 ……なるほど。本人は遊んでるつもりでも、ちゃんと周りの役に立っているわけだ。 近接武器は、武装神姫なら使えない子はいないし。素材を高精度で斬るのはそのまま実戦訓練にも繋がるから、バトル系の神姫でも嫌がりはしないはずだ。 「それにみんな覚え早いしね。第一……」 その続きは、私達の上から来た。 「神姫の着る服は、神姫が作った方が正確だしね」 そこにいたのは、静香と武井さんだった。 「静香。お話、終わったんですか?」 「ええ」 この間エルゴで、この間作ったスーツをエルゴのラインナップに加えたい、という話が持ち上がっていたはず。おそらくはその算段だろう。 「どうだい? こびとの靴屋の感想は」 「びっくりしました」 そうとしか言いようがなかった。 「まあ、普通そうだろうね」 武井さんは私のひねりのない感想にニコニコと笑っている。 「そうだ。ウチのもう一人を紹介しとこう。タツキ」 そう言うと、傍らにいたタツキが、作業台の前に陣取っている神姫の一団に大声を投げ付けた。 「お姉ちゃん! オーナーが、ちょっと来てって!」 「何だいオーナー? 今、仕上げで手が離せないんだけどさー」 そう言いながらやって来たのは、一体のツガル。 タツキと鏡合わせの右だけのおさげに、白いツナギを着込んだ子だ。広い工房を移動するためだろうか。本来のツガル装備ではなく、翼を短く切り詰めたアーンヴァルのウイングユニットを背負っている。 「アギト……じゃない、アキさん。こちら、戸田さんとこのココ」 「ココです。よろしくお願いします」 そっと右手を伸ばせば、ふわりと包み込むタツキとは反対に、力強く握りしめられた。 「そっか。あんたが……」 「……?」 明らかに私のことを知っている口ぶりだ。 「どこかで、お会いしましたっけ?」 「いや。気にしないでくれ」 武井さんのように、静香あたりから聞いていたんだろう。どんな話を聞いていたのかについては、あまり聞きたくなかったので軽く流す事にする。 「アキだ。オーナーんとこで『こびとの靴屋』の現場監督をしてる。よろしくな!」 戻る/トップ/続く
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与太話5 : 参上! 正義の戦乙女!! 「この手が望むは強敵との勝負!」 鉛色のコートが虚空に靡く。 「C・S・Cに誓うは主の勝利!」 輝く双剣が映し出す絶対的な修道女の影。 「阻む黒雲切り開き、勝利を掴む古の血統ッ!」 機械仕掛けの脚が鉄の運命を踏み砕く。 「正義の戦乙女――」 見開かれた双眸が蒼き炎を灯した。 「エル参 「遊んでないで真面目にやってよエル姉!」 コタマが操るホイホイさん、巨大なガントレットを両腕に付けた【ファースト】の攻撃範囲から逃れ下がってきたメルに名乗りを遮られ、エルはプクゥと頬を膨らませた。 「せっかく徹夜で覚えたんですから邪魔しないで下さい!」 「徹夜!? そんなことする暇があったらコタマ姉の対策の一つでも考えてよ!」 言いつつ、メルは決めポーズのままつっ立っていたエルを抱えビルの影に飛び込んだ。直後、二人がいた場所を二発の弾丸が、空気を貫くようなゾッとする音を残して通過した。 「少し漫画で目立ったくらいで図に乗ってんなよコラァ!」 続け様、コタマはもう一体のホイホイさん【セカンド】に二人が身を隠した壁面を撃たせた。神姫の身長より長い大型対物ライフルで壁を粉砕できるとはいえ、この銃撃はエルとメルを狙ったわけではない。威嚇のつもりもなく、ただ、コタマは腹を立てていた。 エルが徹夜で読んでいた漫画をコタマも読み終えていた。漫画の中で目立ちに目立ったアルトレーネとは対称的に、ライト級神姫は小動物二匹がたった1ページ登場しただけだった。ハーモニーグレイスは前巻でオマケのような扱いだった。 コタマはライトアーマーという格付けそのものに不満を持っているわけではなかった。自身、ファーストとセカンドを除けば、装備品は姫乃お手製の修道服と糸を伸ばした二つの十字架だけである。 だがその扱いが許せなかった。漫画の中でライト級神姫達がまるで幼稚園児のように描かれていることが許せなかった。いや、百歩譲って小動物系はいい。コタマとは何の関係もない。だがハーモニーグレイスがそいつらと同じレベルで争っているのはどういうことか。小動物にシールを奪われ「その金ピカネコは私が狙ってたのにー!」とべそをかくハーモニーグレイスを見てコタマは漫画をゴミ箱へ捨てようとして、鉄子と喧嘩になった。作者へ苦情メールも送った。 そして第三巻が発売されたのが昨日のこと。再び漫画をゴミ箱へ投げ捨てようとして再び鉄子と喧嘩になり、苦情メールを数回送っても収まらない憤りをバトルにぶつけようと、エルメル姉妹からの挑戦を二つ返事で受けた。 「出てこいエル、メル! 来ねぇのなからこっちから行くぞ!」 故に、カバー折り返しに実写で掲載されるという破格の待遇を受けたアルトレーネを生で見て、憤りが収まるどころかより膨らんでいったのは詮ないことだった。 「やけに機嫌悪くないか、今日のコタマ」 貞方とタッグを組むという不愉快を極めた申し出だったが、エルとメルにああも真剣に頼まれては断り切れなかった。昨日発売された武装神姫の漫画を読んだエルとメルは漫画の後半で活躍した戦乙女型を見て「私(ボク)達はもっとやれるんじゃないか」と何の根拠も無い自信を持ったらしい。一人では無理でも、二人が力を合わせればドールマスターすら打倒し得る、と。 俺の隣で腕を組んでいる貞方はジッと筐体の中を見ている。 「背比、お前竹櫛さんと同じ弓道部ならコタマの弱点とか知らないのか」 「弱点? あー……そういえば」 「なんだ?」 「コタマってやたらとスマッシュ攻撃を使うんだよな。投げ技も一切使ってこないし、動きを読みやすい」 「スマブラの話じゃねぇよ! 神姫と何の関係あんだよアホが!」 「お前にアホとか言われたくねぇよクソが! じゃあお前がなんか考えろよ!」 放っておいてもバトルの状況は刻一刻と変わっていく。十数階建てビルの中へ逃げ込んだエルとメルを追って、コタマも壁を破って飛び込んでいった。 中の様子は別モニターに映し出される。ビルの内部は会社を模しているのだろうか、人が誰もいないことを除けば実在する事務所のようだった。狭いフロアに机や棚などの物が置かれている。人形二体を連れたコタマにとっては戦い難い場所だろう。 ビルの六階までコタマが上がってきたところで、エルとメルは勝負に出た。ファーストがガントレットでドアをブチ破りコタマが事務所の入口を跨いだ瞬間、エルがコタマの正面から、メルは背後から襲いかかった。ファーストとセカンドは壁を挟んで分かれ、コタマは両側の壁に阻まれ糸を自由に操れない。 待ち構えていたエルは最高速度で突進した。息を潜めていたメルはスカートの下から全武装を解放した。 だが、甘かった。 「うおっ!?」 ビルの側面の窓ガラスを突き破ってエルが飛び出してきた。反対側からメルも同じように出てきた。二人とも自発的にビルから離脱したのではない。そうでなければ、六階から落ちて受身すら取れず路上に叩きつけられるはずがない。 エルが割った窓からコタマが顔を覗かせ、ファーストとセカンドを連れて飛び降りた。 「おい貞方、今何があった?」 「知らん。状況からして、反撃されたのは確かだろうがな」 モニターには確かに、コタマを挟み撃ちにするエルとメルが映っていた。だが二人は直後にモニターから姿を消し、ビルの側面から現れた。 よろけながらもなんとか立ち上がるエルの前に、コタマは着地した。少し遅れてファーストとセカンドも降りてくる。AIを積んでいないはずの二体が何故綺麗に着地できるのかは、コタマにしか分からない。 「よォ大人気なアルトレーネ様。苦しんでるとこ悪いんだけどよ、さっきの名乗り、もう一回聞かせてくれよ」 メルはビルを挟んだ向こう側にいる。援護は期待できないが、一人で戦ってどうにかなる相手ではない。エルは剣と脚のパーツで路面を蹴り、コタマから離脱した。 「いいぞ逃げろエル! そのままメルと合――!」 しかし、エルの速度をもってしても、逃げることすら叶わなかった。 「『44ファントム』」 いつ見てもこの技は瞬間移動としか思えない。全速力で離れるエルの懐に一瞬で飛び込んだファーストは、咄嗟の剣による防御をものともせずガントレットを打ち込んだ。 自分の速度にさらなる加速を与えられたエルは、道路を飛び越え別のビル側面に叩きつけられ、力無く崩れ落ちた。 「エルっ!?」 「今だメル、本体を叩け!」 貞方のヤロウ、エルを囮にしやがった。だがファーストが未だエルへの攻撃の流れに乗って離れている今を逃せば勝ち目を完全に失ってしまう。業腹ものだが仕方がない。 ビルを回りこむのではなく中を真直ぐ突っ切ってきたメルは飛び出すなり、ありったけの武装を放った。次のチャンスが無いのなら、この瞬間で勝負を決めるしかない。 伸ばしたスカートとワイヤーがコタマへ届く直前、セカンドが持つライフルの銃身が間に割り込んだ。 「くっ!?」 「おっと危ねぇ。今のはワイアット・アープでも命取られてただろうぜ」 ワイヤーが巻きつきスカートに挟まれた銃身でそのまま、セカンドはメルを薙ぎ払った。ライフルの銃口がメルへと向けられる。 「じゃあな戦乙女。オマエらは先輩神姫への敬意が足りねぇんだよ」 後から聞いた話だと、メルはこの時「ハーモニーグレイスだってそんなに古くないじゃん」と呟いたらしい。 バトルを終えて、竹さん、貞方と三人でマクドナルドへ立ち寄った。テーブルの上では三人の神姫が例の漫画のことであれこれと議論している。先のバトルのことを持ち出さないのは良いことなのか悪いことなのか。 「そういや貞方、ハナコは?」 このところ大学でもあの健気なわんこ型神姫を見ていない。 「精密検査でメーカーに送ってある。昨日連絡があって、まだ時間がかかるらしい」 「ふうん、検査ってそんな時間かかるもんなん。コタマもいっぺん検査に出そうかね、ウルサイのが払えて丁度いいかもしれん」 竹さんはフライドポテトを一本ずつ減らしていった。ちまちまと妙に女の子らしく(いや女の子だけど)ポテトをかじるその姿はトップクラスの神姫オーナーには見えなかった。 「竹櫛さん、コタマが使うホイホイさんの……」 「ファーストとセカンド?」 「ちょっと見せてくれないか」 いいよ、と竹さんは気軽にトートバッグからハンカチにくるまれた二体を取り出した。今まで無造作にバッグの中に入れていたらしい。益々竹さんのオーナーっぷりを疑ってしまう。俺もエルの装備を筆箱に入れてるから他所様のことを言えたもんじゃないけど。 ちなみに貞方は専用アタッシュケースを持っている。クソブルジョワめ、先物取引に手を出して一日で破産しろ。 見せてもらったホイホイさんは、ごく普通のホイホイさんだった。ファーストは腕をガントレットに取り替えられているだけ、セカンドはもうそのまま害虫退治ができそうだった。 でも、この二体はバッテリーこそ積んでいるもののAIを搭載していない。動きはすべてコタマの糸で操られている。 「竹さん、コタマはどうやってこのホイホイさん動かしてんの?」 恐らくドールマスターを知る誰もが知りたい秘密だろう。思い切って聞いてみた。 でも質問が直接的すぎだろうか。貞方が「(お前、もう少し遠回しに聞けよ)」と目で言ってきた。でも竹さんはさして気にした風もなく、というより、 「さあ、分からん」 分からないらしかった。 「分からんって、竹櫛さんが用意したんだろ?」 「いーや、うちの兄貴に全部任せとるよ。メンテとかも」 「……そうか」 貞方がなぜか落ち込んでいる。きっと阿呆なりに思うところがあるんだろう。 哀れんでやろうとすると、ぎゃあぎゃあ騒いでいたエルに呼びかけられた。 「マスターマスター! やっぱりアルトレーネが一番だっきゃん!? にゃにするんですか鼻を打ちました!」 俺の元へ寄って来ようとしたエルの足を掴んで倒したコタマは、そのまま4の字固めを決めようとした。エルは鼻を押さえながらもそれに必死に抵抗している。 「オマエ今まで何聞いてたんだ! ハーモニーグレイスを差し置ける神姫なんていねぇっつってんだろ!」 「そんなわけありまっせん! どの神姫も平等なんです!」 「言ってることメチャクチャじゃねえか!」 「コタマ姉さんに言われたくありません!」 「二人はいいじゃない、漫画に出られたんだし……ボクなんて……」 小さな仲良し三人は俺達が店を出ると言うまで、俺達の意見を右から左へ受け流して自分の型の優位を主張し続けた。 オルフェ♡ カッコいいっス! 流石っす!! そう、今までの【武装神姫2036】は楽しくも、何かが足りませんでした。 その何かとはアルトレーネのことだったのです! ああ、オルフェのさらなる活躍を目にするのはいつになることやら…… 第四巻を楽しみに待ちましょう。 Wikiだと文の前に空白を置けないんですね。 知りませんでした。 15cm程度の死闘トップへ
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第6話 「世論」 なんだかんだと小難しく考えたって、結局のところはやっぱり『ハイテクオモチャ』なワケ。 昔の話なんざどうでもいいし、後々どういう評価をされようと今の俺には関係ない。 取りとめもなくそんな事を考えていると、ニュース番組からも『武装神姫』って単語が聞こえてきた。 ホントに際限ないなと苦笑いしながら目をやったが、生憎ソレはあんまり楽しい話題じゃなかった。 『違法改造・販売業者を摘発 高額な美少女ロボットに傾倒する若者たちの実像』 ……要するに神姫の外見(そとみ)や中身をマニア向けにカスタムして売ってた連中がとっ捕まったって事らしい。 スタジオに設置された円状テーブルでは、良識派の看板背負ったオトシヨリが低俗なワカモノの行動を盛んに批判していた。 頭は寂しいのにヒゲだけもっさりしたオッサンが『縄文時代における遮光器型土偶を筆頭に世界中には女性を象った人形が数多く』と長そうなウンチクを披露し。 白衣で白髪のジーサンは『犯罪心理学的立場から見るに女性をイメージさせるものを所有したがるのは幼稚な独占欲の現れであり』とブツブツ。 さらに大ボリュームなパーマ頭に分厚い化粧のオバサンが『オモチャとはいえ『女を売る』こと自体がヒワイでサベツ的で低俗で下品でイヤラしくて』とヒステリーを起こしてる。 こういう答えの出ない論争に熱くなれるのは当人たちだけで、見てる方はどんどん冷めてくる。 実際、俺は『なんでココの連中は皆メガネかけてるんだろう』とか『おじいちゃんそんなエキサイトしたらアタるんじゃない?』とかをボーっと考えてた。……が、ルーシーは難しい顔をしてる。 「あんまりマトモに考えない方がいいぞ。 こういう連中は自分の信じてる事だけ喋ってるだけなんだから」 そう言ってみたが、小さく首を振った。 「違法に改造販売されたという神姫の事を考えていました」 ……あんまり小難しい話って嫌いなんだけどなぁ、俺。 「基本的に私たちはオーナーに対する『拒否』や『意見』という権利を認められていません」 「……のワリにゃ俺の考えた名前を片ッ端から斬り捨ててくれたような気がすんだけど」 「反面、購入者であるオーナーには完全上位者としての権利が発生し、それによりオーナーの決定には絶対服従……それが不当な命令や違法な改造であっても、私たちに『No』という選択肢はないんです」 俺の呟いたヒトコトを黙殺して自分の話を続ける。 ……お前ソレ絶対服従とかウソだろ。 「ですが、幸か不幸か……私たちに搭載されたAIには一通りの基本知識がプログラムされています」 「改造だろーが転売だろーが、ソレがどういう意味なのかは判るって事か」 「ハイ。 『所詮はオモチャ』……その通りであり、それ以上でもそれ以下でもないのですけれど」 小さく俯いたが、声の調子は変わらない。 「運命に逆らえず、そういう道を辿った神姫の事を考えると……少し、哀しくなります」 こういう時、俺はどう答えてやればいいんだろう。 あいにく女と付き合った事なんか学生時代にしかない俺の頭にはカッコいいセリフなんかちっとも出てこなくて、映画やドラマみたいにキメられない。 ……だから。 「俺、そういうの嫌いでさ」 しょうがないんで、さっきのコメンテーターみたいに俺の言いたい事だけ言う事にした。 「だからお前も言うな」 よくあるだろ? マンガなんかで『ウンメイがどーのシュクメイがどーの』ってヤツ。 あーゆーの見ると冷めるんだ。 よくあるパターンだなーってさ。 「……オーナーは、強い方なんですね」 俺の言葉をどう脳内変換して受け取ったのか、ルーシーはなんだか嬉しそうに笑ってそんな事を言った。 ……もしやお前、俺のこと『運命なんかに左右されてたまるか!俺の道は俺が切り開く! それが俺のジャスティス!』とか血管ふくらまして叫ぶ熱血硬派だと思ってる? ゴメンそれすごい誤解。 別に俺カッコいいこと言ったつもりないよ? あんま美化すると現実見てから辛くなるぞ? そう訂正しようと思ったが、コイツはもう「嬉しそう」って言うか「誇らしそう」に見えるくらいイイ笑顔になってたんで、結局言えず終いだった。 ……しょーがないじゃん、せっかく笑ってんだもん。 暗い顔させたくねーな、って思ったんだもん。 なんか俺って自分で思ってるよりコイツに入れ込み始めてんのかな、と思った……そんな1日。
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hatugen戦闘回数が増えていくと追加されるキャラもいるので とりあえず、今戦える相手の装備を全部ひっぺがす位(5〜6回)の勢いで戦っていけば 特に問題なく戦える相手も増えていきます。 「1対1」 「1対2」または「1対3」 のハンデ戦 「1対1」初登場はゲームセンターで1回戦闘のみ。本編クリア後の継続プレイで常駐する 「1対1」メインストーリーにからむイベント戦1回のみ。 初期~ F3クラス制覇~ F2クラス制覇~ F1クラス制覇~ 初期~ マスター 神姫 神姫タイプ 元ネタとか攻略情報とか 柴田勝シバタ マサル プルミエ アーンヴァルMk.2 おそらく多くのプレイヤーが最初に戦う相手。神姫名の「プルミエ」は「最初」を意味するフランス語「プルミエール」からだと思われる。戦国から江戸にかけて家名を残した「柴田氏」が「勝」の字を代々使っているまた格闘技にも「柴田勝久」「柴田勝頼」の親子がいるバトルロンドのNPCでも「まさる」「プルミエ」が登場 小早川千歳コバヤカワ チトセ リリス ストラーフMk.2 勝利後F3①予選解禁バトルロンドのNPCでも「ちとせ」「リリス」が登場 柿崎静馬 ナギ ハウリン 三毛屋ベンガルミケヤ ベンガル コモモ マオチャオ 「よーしよしよしよし」…漫画「ジョジョの奇妙な冒険 第六部」のキャラクターグェスの台詞のパロディ 柏葉剣 ルーデル ゼルノグラード 第二次大戦時のドイツ空軍の爆撃王(兼エース)ハンス・ウルリッヒ・ルーデル大佐及び彼が受賞した黄金柏葉剣ダイヤモンド付騎士鉄十字章から 山中美幸 ライラ アーンヴァルMk.2 赤橋瞳子アカハシ トウシ ハヤテ ハウリン 足利尊氏の妻 赤橋登子(あかはしとうし)? 津軽冬至 雪華 フブキ メールで対戦可 勝利後自宅でフブキ解禁 足利崇文 紅葉 マオチャオ 勝利後F3②予選解禁「兄様がまともに戻るまで、殴るのをやめないっ!!」…漫画「ジョジョの奇妙な冒険」の主人公、ジョナサン・ジョースターの台詞のパロディ室町幕府初代将軍 足利尊氏? シルバー・クレイ マリー アーンヴァルMk.2 「私達はようやく登り始めたばかりなのデース、この果てしなく遠い神姫坂を」漫画「男坂」のラストのパロディ 犬童太 ハナ ハウリン 軍曹 三等兵 ゼルノグラード 映画「フルメタル・ジャケット」に登場する鬼教官、ハートマン軍曹とその部下神姫名の元ネタは漫画「ロボット三等兵」から? 真紅女帝総長 沙耶香 アーク メールで対戦可難関その1 前作より攻撃的だが沙耶香以外は弱い装備が最も豪華なのが沙耶香近接攻撃中心なら亜里沙のバズーカが邪魔なのでこちらを先に勝利後ショップでアーク解禁「女帝」は英訳するなら正しくは「エンプレス」なのに真紅女帝(クリムゾンエンペラー)と呼ぶのは、コナミシューティングゲーム、エアフォースデルタの作戦名からアーク型曰く「珍走団」←徒党を組んで道路交通法違反を繰り返す集団のこと「203高地に挑む」中国にある丘陵で日露戦争の重要拠点 真紅女帝副長 亜里沙 アーク 真紅女帝見習い 香里奈 アーク ダリル・ブレナン ドロシー ハウリン 吉川素子 アローズ マオチャオ 猪苗代孝実イナワシロ タカミ ふゆなぎ ゼルノグラード 春夏冬 あきな アーンヴァルMk.2 「商い中」の古い(言葉遊び的な)表現「春夏冬中」から「春夏冬」→「あきない(秋無い)」→「あきな」 ダーリン あんこ アーンヴァルMk.2 ゲストキャラ(公式漫画ヒブソウシンキ)「ののこさんに~」ヒブソウシンキの登場人物。ちなみに、作中でのあんこは彼女の魔改造を怖がっておらず、寧ろかっこよがっていた。原作ではアーンヴァルだが諸事情によりMk2に。アーンヴァルMk2で対戦すると立ち絵が低く設定されていることがわかる。 青山遊馬 かさぎ エウクランテ 新渡戸総一 セイラ イーアネイラ セイラ「この軟弱者!」 機動戦士ガンダムのセイラ・マス F3クラス制覇~ マスター 神姫 神姫タイプ 元ネタとか攻略情報とか 双蜂 ベル マオチャオ 双蜂=ツインビー ベル=ツインビーのパワーアップアイテム「当たらなければどうと言う事は~」機動戦士ガンダムのシャア・アズナブル 南部蒼太 フレンダー フブキ タツノコのガッチャマン南部博士と、同じくタツノコキャシャーンのフレンダー「あきらめたら、そこで試合終了ですよ」SLUM DUNKの安西先生 チョコレッタ・G アンネ アーク 武装神姫2036 アーク・イーダのデザイナーCHOCO氏から 犬養創 ヤマト ハウリン メールで対戦可難関その2 単体のLPは低く、ロック距離も短い神姫名は大日本帝国の大和型戦艦の名前。(大和・武蔵・信濃。ただし信濃のみ戦艦としてではなく空母として完成している) 犬養続 ムサシ ハウリン 犬養完 シナノ ハウリン 鍋島樹里 みおん マオチャオ 鍋島家の化け猫騒動 立花茂 銀千代 ハウリン 立花宗茂と妻・ギン千代「この風、この肌ざわりこそ神姫バトルよ」…アニメ「機動戦士ガンダム」のキャラクター、ランバ・ラル大尉の台詞のパロディ。「うん、無駄無駄無駄無駄無駄じゃ」…漫画「ジョジョの奇妙な冒険 第三部」のキャラクター、DIOの台詞のパロディ。「片眉剃って大笑いしたり」…空手バカ一代 豪徳寺みか まりぃ マオチャオ 「表の模様が裏に、裏の模様が表についてるコイン」…ジャイアンがのび太を騙した手口「縦縞のハンカチが横縞」…マギー司郎、審司の持ちネタのひとつ「頭の悪い怠け者~」ハン・フォン・ゼークトの言葉「バカには見えないメイド服」…裸の王様のパロディ ケンプ 黒姫 ゼルノグラード ケンプファー=ドイツ語で「戦士」からか「我が選択に、一片の悔いも~」…漫画「北斗の拳」のキャラクター、ラオウの台詞のパロディ 百武健心 百花 イーダ メールで対戦可勝利後ショップでイーダ解禁 給料シーフ シルファ アーク シーフ=泥棒 給料泥棒 真田有希那 キリカゼ イーダ 真田有希那→真田幸村から? キリカゼ→風魔の小次郎の霧風から? 練馬大将軍 ミュー アーンヴァルMk.2 練馬区光が丘に存在した「グラントハイツ(米空軍宿舎)」の由来グラント元大統領・元将軍。もしくは究極超人あ~るの成原博士。「世界征服は練馬から!」 偉吹玲人 まお マオチャオ ゲストキャラ(武装神姫2036) ハウリン・マオチャオのデザイナーBLADE氏から勝利後猫型カスタムパーツ解禁 神選組局長 コテツ ゼルノグラード メールで対戦可本人達の発言通り突撃しかしてこないので楽器RA等の餌新選組とその刀新選組局長 近藤勇:長曾祢虎徹<ながそね こてつ>新撰組副長 土方歳三:和泉守兼定<いずみのかみ かねさだ>新選組八番隊組長 藤堂平助:上総介兼重<かずさのすけ かねしげ> 神選組副長 イズミ ゼルノグラード 神選組隊士 カズサ ゼルノグラード 得川義文 葛葉 フブキ 「お風呂覗かれたり」…緑髪忍者型でコナミのゲーム「がんばれゴエモン」のヤエちゃん?「ござる の巻」「頬にうずまき」…忍者ハットリ君 痴豚 ミランダ イーダ タレント・伊集院光が、ラジオ番組「深夜の馬鹿力」内で照れ隠しも含めて自身の事を言う際に使う呼び方。 痴漢の『痴』に太った人を蔑む意味『豚』を合わせた造語。それを抜きにしてもSMプレイでも『豚』という蔑称はよく用いられる。ミランダはイーダのデザイナーCHOCO氏の描くSFコミック「イグナクロス零号駅」の主人公ミランダ駅長から?「恐ろしいものの片鱗を」…ジョジョの奇妙な冒険 嶋渓フミカ エイル アーンヴァル ゲストキャラ(武装神姫2036) アーンヴァル・ストラーフ等のデザイナー島田フミカネ氏から ドグラ・モゲラ 菊花 フブキ ドグラ・マグラからか?(会話内容からマスターの容姿が「戸惑う、面食らう」や「堂廻り、目眩み」となっており、原点がそういう意味という説から)またはモグラ⇒掘る(男に対して性的な意味で)⇒アッー!⇒菊の花 山中日向 葵 アーク 日向葵で「ひまわり」。山の中に咲くひまわり? タケル サギリ アルトレーネ メールで対戦可サギリの方が耐久が低い勝利後ショップでアルトレーネ・アルトアイネス解禁日本神話のヤマトタケルノミコト 日本神話の神:アメノサギリorクニノサギリ ミコト テルヒメ アルトアイネス 時速30km 和津香 ツガル 時速30km 時速30kmの速度の風が胸の感触と同じと言う逸話「胸がミサイルだったり~」マジンガーZのアフロダイA等 F2クラス制覇~ マスター 神姫 神姫タイプ 元ネタとか攻略情報とか ??? ??? アーンヴァルMk.2 勝っても負けても展開は変らないが勝つと称号が貰える 神宮司八郎 アトラ アーンヴァルMk.2 F2制覇後登場。探偵 神宮寺三郎 また、「アトラ」は穴を開ける道具の事なので、海底軍艦轟天号艦長神宮司 八郎 大佐今後発売予定の小説、武装神姫 LOST DAYSの主人公となった 森永穂波 アニー アーンヴァルMk.2 神宮司八郎戦闘後登場元女優の森永奈緒美さん。アニーは宇宙刑事シャイダーでの役名 神戸こなみ みなこ アルトアイネス F2制覇後登場。神戸のコナミそのまま。みなこはその逆さ読み「もっと恐ろしいものの片鱗を」…漫画「ジョジョの奇妙な冒険 第三部」のキャラクター、ポルナレフの台詞のパロディ。48の拷問技…キン肉マン48の殺人技 笠嶋京香 あざみ ストラーフMk.2 赤城春菜 麗音 アルトレーネ 北関東最強、赤城→赤城山、春菜→榛名山、最強神姫理論→公道最速理論でいずれも漫画「頭文字D」のネタアルト「レーネ」→麗音 趙飛燕 夏姫 イーダ メールで対戦可睡蓮が多弾頭ミサイルとバズーカをリロードしながら乱射してくる前漢成帝の皇后。夏姫→巫臣(春秋時代の楚の政治家)のカミさん> 王秀英 睡蓮 アルトレーネ 周小紅 蘭蘭 ゼルノグラード 音黒野美子 クロミ フブキ クトゥルー神話に登場する架空の書物「ネクロノミコン」から。神姫名もネ「クロ」ノ「ミ」コン→クロミか?ちなみにバトル前の会話で唱えている怪しげな呪文も、クトゥルー神話に関わるものである。はしかのようなもの…はしかは日本人なら一生に一度はかかると言われる病気。転じて、恋の病や中二病など、誰もが経験するであろう事象を指すクトゥグア…同神話に登場する神 武本哲 チェリー ゼルノグラード 漫画「じゃりン子チエ」の「竹本テツ」「チエ」にひっかけて「チェリー」ティーガー…阪神タイガース 愛猫党党首 ターニャ マオチャオ 勝敗に関わらず趙飛燕と戦うと挑戦メールが来る二人が多弾頭ミサイルを装備。一人だけ装備して無いのでそれだけ後回しに 愛猫党参謀 アイニャ マオチャオ 愛猫党書記 ハルニャ マオチャオ 麻呂 雛鶴 イーダ 山県みちる 薫 アルトレーネ 「神姫イヤーは地獄耳」…デビルマン 兜茂 ユリコ アーク マスターは仮面ライダーストロンガーの城茂神姫名のユリコはストロンガーのパートナーの電波人間タックルこと岬ユリ子「天が呼ぶ 地が呼ぶ~(略)」は同作品でのストロンガーの名乗り口上 左籐楓 メープル フブキ 勝敗に関わらず愛猫党党首と戦うと挑戦メールが来るメープルが近接、アナベルがミサイル、マグノリアがガトリングを使う固められてコンボを決められると危険なので、アナベルかマグノリアを先に倒したいメープル:英語でカエデのこと。左籐楓(サトウカエデ)はメープルシロップの原材料アナベル:アジサイの品種。紫陽花(アジサイ)マグノリア:モクレンの品種。大山蓮華(オオヤマレンゲ)もモクレンの一種 紫陽 花 アナベル アーク 大山蓮華 マグノリア イーダ ういろー ナナ マオチャオ 名古屋名物、ういろうとナナちゃん 埴場怜太 クラリス アルトアイネス 羊たちの沈黙の登場人物。埴場怜太(ハンニバル・レクター)とクラリス・スターリングアフロディテから…ギリシャ神話のピュグマリオン 九頭龍 ルル アーク クトゥルー…クトゥルー神話に登場する神の名前、九頭龍はその表記の一つルルイエ…同神話に登場する架空の地名戦争末期で槍一本…太平洋戦争中の日本 陰陽熊 ファム アルトアイネス 閃光魔女 シャイナ ストラーフMk.2 プロレス技のシャイニング・ウィザードからか?男にしとけばよかったんじゃ…(ウィザードは主に男性の魔術師を指す) 美馬坂真尋 ドナ ストラーフMk.2 F1予選①~④クリア後に挑戦メールが来る。勝負するとヴァルハラが解放される。 開田有人 ライム マオチャオ 全F1予選クリア後に登場。元ネタは開田裕治氏と氏のホームページに掲載されている徳間文庫の官能小説アンソロジー「爛夢」から?「きれいな言葉遣いだろ?マオチャオ型なんだぜこいつ」ご存知某野球漫画の主人公のせりふ。 定岡千鶴 美礼 ジルリバーズ 橋田義一 エムアール エストリル MR=ミッドシップエンジン・リアドライブ方式??その他自動車用語としてのMRは数多く存在する 島津佳美 アイラ プロキシマ 島津義久or義弘から。鹿児島県姶良(あいら)市から コバヤシ マッハ ジルリバーズ 丹下鍛造 桜 プロキシマ 明日のジョーのコーチ丹下段平。神姫名は丹下繋がりで声優・歌手の丹下桜からか。 戸次香織 エリカ アーティル ステージ構成上開始時は分断されており、エリカは延々離れたところで浮遊機雷を撒き続けるのでまずユリカに速攻をしかけたい。合流されると強敵「火が二つ重なれば炎~」:中の人の組み合わせもあってトップをねらえただし姉妹逆 戸次詩織 ユリカ ラプティアス 倉田音羽 オルフェ アルトレーネ ゲストキャラ(武装神姫2036) 神姫名はスタジオオルフェから。マスターはデザイナーの羽音たらく氏のアナグラム。 F1クラス制覇~ マスター 神姫 神姫タイプ 元ネタとか攻略情報とか 足寄百合香 美月 ベイビーラズ 文字通り、足に擦り寄る百合娘 ミュー・垂乳根 満姫 イーアネイラ 口調はルー大柴満姫がバズーカを撃ってかべこが近接バズーカに巻き込まれ吹っ飛ばされるかべこ… 平壁真垂 かべこ ガブリーヌ 小田春海 くらら マリーセレス 村ピープル ネヴィル マリーセレス 70年代のアメリカのバンド「ヴィレッジピープル」「筋肉隆々な色男がよりどりみどりの~」ヴィレッジピープルはメンバーがゲイだったと噂されてる 五進クリニック 梓 ツガル 誤診クリニック(本人達も語ってる) ニーヌ・マッケンジ フィオ エストリル 武装紳士・淑女御用達のエアパスタ。まだ未経験の方は是非お試しあれ。名前は新沼謙治とニール・マッケンジーからか。「げえっ(主人公名)!」横山光輝作『三国志演義』より。ジャーン!ジャーン!ジャーン! 薄田御幸 ミコ 蓮華 「幸薄」を入れ替えたもの「雑誌の裏」幸運の宝石の広告。エロ雑誌に多い 魔法使い 美紗緒 ベイビーラズ 三十歳まで童貞でいると魔法が使えるようになれるとの都市伝説。「美紗緒」操 漆黒の牙 レヴィア イーアネイラ 厨二病もしくは邪気眼。ご丁寧にイーアネイラの目がオッドアイになっている。エウクランテ曰く「ひょっとしてマスターもあんな事考えながらバトルしてない?」とのこと。みんなしてない、よね?アーク曰く「なんかさっきから胸が痛むし顔が熱くなってくる」アークさん… 五百旗頭かのみイオキベカノミ タマモ 蓮華 殺生石伝説の「玉藻前」「そんな事言われても、うち、ただの神姫やし」は、昔使われていたポン・デ・ライオンのAAの台詞「そんな事言われても、ウチ ポン・デ・ライオンやし」より。 九鬼マユ チロ ガブリーヌ 九州ライダー1号 ユリ エストリル 2体1だがチューブステージなので一度ロックさえしてしまえば常に陰に隠れてビット撃ってればノーダメージ余裕マスターは仮面ライダー1号 2号から。神姫の名前は初代仮面ライダーに登場したライダーガールズ・ユリとマリから。 九州ライダー2号 マリ ジルリバーズ 三鷹台六朗 レイナ 紗羅檀 「もっと静かで…」「いや焦るんじゃない」「ダブってしまった…」「焦るな焦るな」「あれが効いたな…」全て漫画「孤独のグルメ」より。同作品の主人公は井之頭五郎。(井の頭公園は三鷹市にまたがる。また京王井の頭線井の頭公園駅の渋谷方隣駅が三鷹台駅。) ピュンマ・ハマハマ ナディア エウクランテ 映画「ミラクル・ワールド・ブッシュマン」?あるいはふしぎの海のナディアのハマハマとナディアかも 環稜香 シレーナ エウクランテ ゲストキャラ(武装神姫2036) デザイナーの間垣リョウタ氏のアナグラム。 TSUGARU 赫 ツガル ゲストキャラ(武装神姫2036) 漫画では青のリペイントカラーのツガル型も所持していた。
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1st RONDO 『どいつもこいつも神姫マスター』 『ホイホイさん』 という人形をご存知だろうか。 そのネーミングからなんとなく想像がつくように、この人形は殺虫剤をものともせず室内を走り回る “黒い閃光(通称G)” を駆除するためにマーズ製薬㈱によって生み出された――とはとても思えない、3.5頭身の可愛らしい殺虫人形だ。 俺がまだ高校生2年生だった頃に市場に出回ってからというもの、授業中に持ち主の鞄から抜け出し校舎内を徘徊するホイホイさんが後を絶たなかった。 思い思いの装備に身を包んだホイホイさんは片っ端から害虫をデストロイし、そこら中に死骸の山を築き、挙句の果てに生物部で飼育していた小動物にすら手を掛けてしまったのだが、そこはまあ、どうでもいい。 マーズ製薬曰く 「ホイホイさんは(ゴキブリに殺虫剤が効かなくなったから)冗談のつもりだったのに生産が追いつかない」 と続々とホイホイさんアナザーバージョンを生み出し、他の製薬会社もホイホイさん同様の機種を続々と発表していた頃、大手玩具メーカーのコナミ㈱から、 『武装神姫』 という人形が発売された。 こちらもホイホイさんのように武装させる人形なのだが、大きく違う点として、 ・種類にもよるが、頭身は5~6。ヒトガタに近い。 ・武装は神姫同士の勝負を楽しむためにある。 Gを駆除するためではない。 ・人間と遜色ない会話・行動が可能。腕などの関節部を見なければほとんど小人。 が挙げられる。 スペックの高さから分かるように値は張るものの、この “心を持った人形” で勝負を楽しむだけではなく、生活のパートナーとして扱う者も多い。 さて、男ならば当然の発想として(?)、ホイホイさんと神姫を戦わせてみたくなる。 異種格闘戦にときめかない男など男ではない。 たぶん。 そしてそのトキメキは弓道部内で唯一の神姫マスターであった部長と、その他複数人のホイホイさん達によって実現することとなった。 後に “Mの悲劇” と呼ばれる事件である。 あまりにも酷たらしく、そして惨たらしく殺壊された猫型神姫マオチャオは観戦していた部員達に強烈なトラウマを植えつけた。 その話はまたいつの機会に取っておくとして。 それから大学に進学した今日に至るまで俺は、神姫を購入したくても手を出せないでいる。 ▲―▽―▲―▽―▲―▽―▲―▽―▲―▽―▲―▽―▲―▽―▲―▽ 夢のキャンパスライフ。 そんなものは所詮夢であったと思い知らされた大学一年目が終わり、しかし春の風と共に乗ってきた幸福感をたっぷりと噛み締め、二年目は軽快に滑り出した。 何せ人生初となる彼女ができたのだ。 春とはいえ過剰に浮かれポンチになっていたとしても、多少は目を瞑ってもらいたい。 それができないならば、俺が無理矢理にでも目を逸らさせてくれよう。 姫乃を有象無象の濁りきった目に晒したくないのだ。 独占欲とはこういうことかと、今更ながらに知った背比弧域である。 しかし現実的に姫乃を独占するのは難しく、今はお互い離れた席に座り、姫乃は彼女の友人達とひそひそおしゃべりを楽しみ、俺の隣には 「すぴー……こーほー……」 講義の最中であろうとお構いなしにふんぞり返って爆睡する貞方がいる。 だらしなく開かれた口に水で濡らしたティッシュを詰め込みたくなる。 人が真面目にノートを取っているというのに、こいつは講義が始まる前から寝息を立てていて、しかもそれでいてこいつは “ノートをしっかりと取っているのだ”。 貞方の机の上で教授の板書が綺麗に現在進行形でまとめられている。 ノートの上で自分の背丈と変わらないシャープペンを一生懸命動かすのは貞方の神姫の、 ええと―― 「ハナコです。 よろしくお願いします、背比さん」 俺の視線に気づいた神姫に突然話しかけられ、うっかりシャープペンを落としてしまった。 まさかいきなり自己紹介されるとは思わなかったから驚いた、わけではない。 というかハナコとはほぼ毎日顔をあわせている。 幼い頃テレビで 「一度会ったら友達で、毎日会ったら兄弟だ」 と着ぐるみ4匹に教わったのを思い出した(昔の教育番組の再放送だった気がする)。 ということは、俺とハナコは兄妹ってわけだ。 ……必然的に貞方とも兄弟になってしまった。 このハナコと名乗る勘のいい神姫は犬型のハウリンと呼ばれるタイプだ。 ケモテック社ならではのコミカルで愛くるしい見た目が特徴的で、 ――マオチャオと同時に発売されただけあって、そのシルエットはトラウマを呼び覚ます。 「……神姫って読心機能ついてんの?」 「あ、いえ。 私の名前を忘れたなー、という顔をされていたので」 そう言ってペコリと頭を下げ、再び作業に戻った。 今は身体を服っぽくペイントされているだけだが、貞方がこの神姫を買ったときに一度 「どうよ俺のハナコ、イカすだろ!」 と武器を持たせた状態で見せられたことがあった。 その時は頭に犬に似せた被り物をさせて、手足もアニメ調の犬らしくなっていた。 なるほど、犬型ね。 ダメ飼い主に文句も言わずノートを取る姿を眺めていると、なんだか俺が心苦しくなってくる。 シャープペンを両手と脇で器用に支えて字を書き、芯が短くなればシャープペンを逆さに持って机に杭を立てるようにノック。 字は綺麗でもさすがに書く速さはどうしようもないらしく、教授の板書について行くためにさっきから一息つくこともなく手を……じゃなく、身体を動かしている。 俺のノートを後でコピーさせてあげたくなるが、結局それが貞方の手に渡ることになるのが気に食わないので、ハナコには申し訳ないのだが、ダメ飼い主を引き当ててしまった運命を全うしてもらうより他はない。 いや待て、何故俺がハナコに気を使わねばならんのだ。 それにしてもハナコの字、綺麗だなあ。 ロボットだからなのか、書道の手本のような明朝体だ。 ……人形よりも字が汚いんだな、俺って。 「あ! ……すみません、背比さん」 「うん?」 「その、大変申し訳ないのですが、シャープペンの芯を一本頂けませんか。 後でちゃんとお返ししますから」 「いや、芯くらいいくらでもやるよ。 ダメ飼い主を持って大変だろ」 「いえ、とんでもな――あ、ありがとうございます――ショウくんのためになれて嬉しいですから」 そう言って、ハナコは微塵の邪気も混ぜずにはにかんだ。 健気だ。 健気すぎる。 その笑顔が眩しすぎて、 「いや、代わりにノートをとるのは貞方のためにならないぞ」 とは口が裂けても言い出せなかった。 というか貞方、自分のことを 「ショウくん」 って呼ばせてるのか。 いつもは 「マスター」 だったと思ったが――ああ、そういうことか。 「なあ。 普段は貞方のことを何て呼んでるんだ」 「普段からショウくんですよ。 でも外では恥ずかしいからマスターと呼べと言わ…………」 「ほう。 普段はショウくん、ね」 「~~~~っ!!」 シャープペンを放り投げてその場に丸くなってしまった。 頭隠して身体隠さず。 抱えた頭を少しだけ上げてこちらを上目遣いで見るハナコ。 どうする、アイフル(何年前のCMだ)。 ただのレンズであるはずの瞳が潤んでいるように見えて、少しだけ、この神姫を可愛いと思ってしまった。 「あ、あの、このことはショ……マスターには、」 「分かってるって。 言わないから安心してくれ」 俺だって知りたくなかったよ。 こいつが人形に 「ショウくん」 と呼ばせてるだなんて。 ホッと胸をなで下ろす仕草も可愛らしく、 「では、くれぐれもよろしくお願いします」 とペコリと頭を下げ、再びシャープペンを抱えた。 まあ、正直に言うと、神姫に自分のことを愛称で呼ばせたくなるのは分からないでもない。 未だ “Mの悲劇” を引きずっているとはいえ、貞方とハナコのように良い付き合い方 (この場合は仲が良いことを指すのであって、神姫にノートを取らせるのはマスターとして、いや人として駄目だ) を見ていると、人間と人形のそんな関係もアリなんだろうな、と思えてくる。 いや、もちろん俺には一ノ傘姫乃という無敵に素敵な彼女がいるわけだが。 ボロアパートの一室、俺の部屋の中に身長15cmの小人が住んでいるのを想像すると、ついつい口が緩んでしまう。 ふと気がつくと、ハナコといつの間にか目を覚ました貞方が二人そろって怪訝そうに俺を見ていた。 「何ニヤついてんの、きめぇ」 さっきまでのコイツのアホ面、写真に撮っとけばよかった。 「そういえば背比、神姫買わないの?」 何が悲しくて、彼女ではなくアホ面野郎と昼飯を食わねばならんのか。 男が全生徒の九割以上を占める工業大学では姫乃曰く 「人数少なくても理系でも、女の子は女の子なの。 良くも悪くも」 だそうで、付き合い始めてからまだ一度も二人で昼飯を食べたことがない。 事情は理解しないでもないが、それでも目の前にいるのが貞方というのが、率直に嫌だ。 「あん? なにが?」 「神姫。 一ノ傘さんも持ってるじゃん」 「は!? なにそれ、俺知らねぇんだけど! なんでお前が知ってんの?」 貞方が思いっきり仰け反って顔を引きつらせた。 何やってんだこいつ。 ……と思ったら、いつの間にか俺が貞方を責めるように身を乗り出していた。 「そりゃだって、見たし。 講義ん時に鞄の中にロバ耳の王様みたくしゃべってて、何やってんだと思ったら神姫が顔だけ出してた。 あのツインテールは確かストラーフ型だったと思う」 コイツが知っていて俺が知らないことがあるのも腹立たしいし、それをコイツから聞いたというのも腹立たしい。 今まで姫乃に、神姫に興味がある素振りはなかったように思うが、何せ神姫といえばハイスペックパソコン並に高価な人形だ。 リカちゃん人形のようにそうホイホイと買えるものではない。 (リカちゃん人形にはホイホイさん並の人工知能しか搭載されていない。 子供に悪影響を与える可能性があるのと、人形メーカーとしての誇りがあるとかないとか。) 俺が神姫の話を振っても 「んー、そうねえ」 と生返事を返すだけだった。 それがどうして? いつ、どこで、なぜ姫乃は神姫を購入するに至った? そして何故それを俺に黙っている? ……姫乃が何を買おうと彼女の勝手なのは分かっているつもりでも、どうも、こう、考えが悪い方に悪い方に向かってしまう。 みみっちい男と笑われるかもしれないが(姫乃に限ってそんなことは有り得ないが)、彼女のことはどんなことだろうと把握しておきたいし。 …………まぁ、何だ。 俺と姫乃ではない第三者が表れ、ソイツの影響で神姫に興味を持ったんじゃないかと邪推しているわけだ、俺は。 情けない男だろ。 ちっちゃい男だろ。 「ほら笑えよ。 笑いたいんだろ、無理矢理笑わすぞコラ」 「意味ワカンネーヨ。 っつーか、仮にその第三者がいたとしても、そいつが男とは限らんだろが」 「だから男だったらどうすんだっつってんだろ! お前責任取れんのかこの糞野郎!」 「はぁ!? カツカレーの食い過ぎで頭イカレたかお前。 ってか一ノ傘さんが浮気とかするわけないだろが。 アホか」 「お前に姫乃の何が分かる!! 適当なこと言ってんじゃねええええええ!!」 「テメエも知らなかったじゃねえか! ウダウダ言ってねぇで本人に聞けやあ!!」 「ハナコにショウくんとか呼ばせてんじゃねぇええぇぇぇぇぇぇえええ!!!!」 「おまっ!? 何故それ……はなこぉぉおおおあああああああ!!!!」 食堂で騒ぐ馬鹿が二人。 不毛な罵り合いは、貞方の鞄から出てテーブルによじ登ってきたハナコが仲介に入るまで続いた―――― NEXT RONDO 『そうだ、神姫を買いに行こう ~1/4』 15cm程度の死闘トップへ